第3話最終回:それでも俺は彼女達を……彼女も守る
バイトを始めたきっかけはお金がなかったから。
産まれてから死ぬまで誰もが共通して生きる目的の一つ。
ヤングケアラーだった私にとって
数えられないくらい
私の仕事は彼らの
採用してくれた人達は
無理もない。
変わらない人間の負の側面。
そして国がかかえている課題。
全部米国のあと追いばかりで
私もふくめて〝ちがい〟を受けとめて暮らしていくなんて生物である以上無理。
でもあきらめたくなかった。
誰も倒れた母を助けてくれない現実で生きていて、マスコミもただ取り上げるだけ。
だから私を採用してくれた人達も家庭や暮らしがあるから問題点を記事にして売っているだけ。
それが答えだ。
会議は
どいつもこいつも誰かと話して盛り上がればそれでいい。
他に売り方あるだろと客観的になれば分かっていても、人間は
弱い生きものから進歩しない。
もし進歩できるなんて
弱さを受け入れたところで好きに生きようとする方が人間らしいから。
そこで出会った格闘技。
私が好きになった格闘技はメジャーな方の格闘技ではなくて、ファンのSNSを調べても仲間は見つからなかった。
一つ年上の男性ファイター。
だからおどろいた。
彼が私のバイト先にあらわれるなんて!
しかも
どうして隠すんだ!
みんなが晴れやかな人生を送っていたらそれこそ怖すぎる。
売るためには仕方ないし、私もヤングケアラーだったからあまり話したくない部分なのも。
でも。
あなたは全てを乗り越えたわけじゃないから戦っているのでしょう?
こんなところにくる人じゃない。
そんな感情が浮かんだ時に私は自分をせめた。
ヤングケアラーだった
そんな私も差別と区別をしてしまっている。
きっと彼はわざと事故にあわされ運ばれた。
ほとんど
そこへ怪人を作った青年とすれ違った時、残酷な真実をつげられた。
「いつもならだまって運ばれた人間のクモとしてふさわしい改良点をしゃべる君がただ筋肉の話をするなんて変だと思った。残念だが彼は前から目をつけていた。君と彼がどういう関係かは興味がない。もう遅いんだよ」
こんな運命を経験するなら、私なんて産まれなければよかった!!
あれから半年
まだ彼は怪人になっていない。
そこであの時運ばれた人達が『チラシ
彼は仲間達を止めると言い、私は彼に誘われたレストランを代金を渡して去っていった。
それからバイトをやめようと考えながら受験勉強をしていた。
女子高生も終わる。
学園生活なんにもなかった。
『
普通の人生を歩ませられなくて。
なんなんだ一体。
それならこれまで学んできたことなんて全部……。
これ以上、言葉にできないくやしさを思い出していたらどうにかなってしまいそうだ。
『チラシ
そうなれば
私は罪を
上司達のスケジュールは管理しているから。
馬鹿な人達。
弱い人間だからってこきつかいすぎ。
だからあの後、私はクモ怪人達のえさを用意するつもりで上司達の元へ向かった。
元々汚れた手じゃないか。
何をいまさら。
そしてクモ怪人達への
私が知らないと思ったか!
そして彼へ渡す。
選手として生きる彼ならとっくにクモ怪人としての姿を
走りながら
その先へ向かうと誰かとぶつかった。
え?
いや合っているのは苗字だけか。
「
「いやそれは俺のセリフだって。初対面で下の名前呼ばれるなんて。って選手? まじか。知名度が上がりにくいこの時代で兄の方ではなく俺の名前を呼ぶなんて。君は目の付け所が違うなあ」
「そ、それは間違いじゃない。でも用があるのは
「
今度も運命のいたずらだった。
タチが悪いのは
「まさかとは思うけど
私は口にすることもなく、身体を動かしてサインすることもなかった。
「いや、とりあえず
お兄さんとは違う前向きさ。
もしかしたら彼から何か学んだのかもしれない。
彼も一つ歳上の19歳。
いくら法で成人年齢があがったって何十年とひきずる記憶が多いから人間は弱いと結論があるじゃないか!
私は何を期待している?
それでも迷ってるひまは無い!
「君はおどろかないんだ。もしかして何か知っている?」
「まずは
薬剤を
そして
彼らが戦う道の
彼は『チラシ
私はクモ怪人回収装置で彼を吸いあげた。
これで目立たない。
あとは双子の兄弟が感動の再会で喜んでいる所から逃げるだけ。
「
何も知らない
もう巻き込みたくない。
運命にふりまわされる人生なんてまっぴらごめんだ。
「もうチラシ
「あとは私が高校卒業して全ての人生を使ってチラシ子達を回収する。あなたはもう仲間達と戦う必要はない。だからもう私に関わる必要はない!」
バレたらもう終わり。
これまでの暮らしは送れない。
探偵に見られている以上は。
「俺はあの時の仲間達を助けるって決めた。大学も専門も行ってねえし、バイトとファイトマネーだけじゃ味気ないから。ってファンに言うことじゃねえか」
「何が言いたい?」
「俺ずっとヒマなんだ。
待てと
「高校卒業はさせてもらえる。それにあのアラサー達が簡単に君の手でやられたとは思えない。チラシ
本気なんだ。
あの時運ばれた人達全員を助けようなんて。
さっき吸った死体になった彼と何かあったのか。
本当。
今の時代でこんな熱い人が同世代にいるなんて。
「探知機の動かし方を教えるから。チラシ
「そりゃそうか。俺のこと覚えていない人やそれより前と後の人がいるし、アラサー達の横のつながりも無視できないよなあ」
「本当に止めるつもりでいる? あなたもクモ怪人なのに」
彼はクモ怪人と呼ばれて冷静になった。
何を考えている?
「クモ怪人って名は俺以外のチラシ
「そこ? じゃあなんて呼べば?」
「クモの子アリク。アラクネーは人間の女性がクモになったやつだからさ。アリクなら男っぽいし。
なんであなたが選ばれたのだろう。
でも
彼ならきっとやりとげる。
だから私も逃げるわけにいかない!
私と
───エピローグ・
ったく
あの女子高生は卒業した頃か。
クモびと事件は引き続き
確実に女子高生はクモびとを制作したスタッフの一員でトップを
それでもまだ暗躍している連中がいるのは確かだ。
リングの上以外で戦うつもりは今でもない。
探偵は探偵だ。
自分の足でちゃんと証拠を集める。
止めればよかった。
いつも
だから二人を必ず止める。
俺も薬剤を研究して独自にクモびとと戦う。
「もう後悔はしない。何度でもお前を追う」
そうだ。
あの時とめたら
手加減なしで。
だったら次は俺がお前をぶん殴って目を覚まさせてやる。
もう
「家族や兄弟としてではなく、一人の人間として手伝わせてくれ!」
今日も静かにクモびとは現れる。
マイノリティってだけで人生をいじられるなんて許さない。
だから俺も戦う。
探偵として。
ファイターとして。
【完】
クモの子アリク 釣ール @pixixy1O
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