第2話:異変と制御と別れ
俺の身体から感じる異変については女子高生・
活動家の
自分は良くて人はだめ。
金を使ってでも誰かを支配したい。
だから世の中は平和にならない。
そこで謎の場所に運ばれた時の記憶を少しだけ思い出した。
今はもう『チラシ
───かつて彼らとした話
俺達が事故やケガにあって話し合っている時間。
彼らは俺よりも
そういった先が見えない状態になっていた。
「お前はメンタル面を
「私達と比べれば
「そうなったらこいつも俺達をいじめるかもしれねえぜ。社会やあのおっさん達がやっていたみたいに利用してくるかも」
俺は何も言い返せなかった。
彼らの味方にもなれず力にもなれない。
ならなぜ俺はここに運ばれたんだ?
「やめろお前ら。そこの青年も好きでここに運ばれたわけじゃない。たとえ好きでここでやってきたとしてもおっさん達に
俺と同じ歳くらいの青年がやってきて場をおさめた。
「あ、ありがとう。俺、
「待て。メンタル面に異常があると判断されてここに運ばれたってことは、君はたまたま事故にあっただけで前から精神面で悩みがあったんじゃないのか?」
俺に悪口を言っていた彼らがいっせいにふりむく。
「別に隠してたわけじゃない。格闘技やってる間は平気なんだけど俺は
青年は俺を歩きながらながめて観察していた。
「へえ。確かにこれは
──現在
俺はかつては
今の時代でも
プロ格闘家としてリングに上がっている時も
「お前頭おかしいんだって?」
「
「どうせ設定だ。それとなんらかの
そいつら全員高校時代にたまたま対戦カードが組まれて全員倒したけどな。
その時の経験がなかったら回復しなかったかもしれない。
俺はその時で全ての運を使い果たし、今では『チラシ
メンタル面でずっと
ただ『チラシ
そもそも『チラシ
「結局みんな自分が全てか」
その状態が健全に見えるだけ。
知っているつもりでも分からないことだらけだ。
『チラシ
息をひそめて活動する。
だからかな。
もし『チラシ
前運ばれた場所にいた人達とも特に会話ができなかったからなおさら。
「きゃああぁぁぁぁぁ」
おっと。
ベタな
身体の
「まさか
二足歩行の怪人。
クモの
俺は
「本当にお前らあの時にいたケガ人かよ。俺のほほをぶん
そうだ。
忘れたつもりはない。
クモ怪人はあの時一緒にいた仲間達だ!
俺が
金稼ぎと
それだけじゃない。
人間より強くなっているからってプロ格闘家の顔に正確なパンチを真正面からあたえられるなんて。
ありとあらゆる反応が人間離れしている。
「お前らそんなに人間が嫌かよ。なんなら俺がお前らを
クモ怪人の攻撃は
「さっきから話し合いに持ち込もうとしているのにそんなにカリカリすんなよ。俺は確かにお前らとは
まじか。
腹ににぶい音がした。
おまけで武器の攻撃があった。
でも腹筋で耐えられる痛み。
問題はそこから鉄に近い
「お前ら、本気で殺すつもりなのか」
「アタリマエダ。ゴタイマンゾクデ、セイシンモミタサレテイルイルナラ〝コロス〟ニキマッテルジャナイカ」
じゃあ止めるしかないな。
「俺だって何度か誰かに当たったさ。当たりそうにも。だから安心して俺にぶつけてこい」
ここまで余裕ぶっこいていたが
今のところ『チラシ
そして『チラシ
「まさか特撮ってフィクションみたいにクモ怪人相手に……って俺もクモなんだよな。そういえば」
格闘家といえば首の骨をならす。
もうオシャレな格闘家が増えたからそういう野生児っぽいの
なら俺は好きな方を選ぶ。
相手は少しだけ毒をはきあって話した仲間だしな。
相手に俺の記憶があるかは知らないが。
「さっ。同じクモ怪人になった。俺は普通にしゃべれるのか」
いくら怪人でも戦い方の質が違う。
急所は少し攻撃し、変身を解除する方法を探っていた。
俺も元の姿に戻る方法が分からないから戦いではなく怪人から人間に戻るチェックになってしまったが。
「クソッ。アイカワラズメンタル面にむかし何かあったとは思えない動きだぜ」
やっと戻ったか。
どうやら弱ると元に戻るらしい。
しかも服までちゃんと。
俺の場合は手術方法が違う可能性があったからまだ分からなかったが怪人から人間には戻っていない。
ためしに軽くシャドーをして身体を疲れさせてみたらちょっとずつ元の人間の姿に戻れた。
服もか。
特撮ってフィクションは意外とリアルなのかもしれない。
仲間との再会に成功した今となってはどうでもいいか。
「人間に戻って話せる方がいい。久しぶり」
「あんたも怪人になれたのか。さっきの動きでなぜあんたが怪人にされたのか分かったよ」
選ばれし者。
悪い意味で。
悪口好きの彼のことだ。
そう考えているかもしれない。
「おっさん達の所でバイトしている女子高生から話は聞いた。他のチラシ
彼はため息を他の方向へはいて立ち上がった。
「俺達は人間嫌いだ。もうとっくに罪を
「俺も信じろとはいってない。
彼は少しだけ俺の方をむいてくれた。
それでも胸ぐらをつかまれた。
「
そして俺も彼の胸ぐらをつかむ。
「なら俺がチラシ
彼が俺をつかんでいた腕を
「プロ格闘家の力でどうにかなることじゃないだろ? 馬鹿かあんた」
「だからプロ格闘家として助けるなんて言ってない。俺達マイノリティだけでもつるもうぜ。正直上京してから友達あんまりいないし。そこで怪人になってむかし
馬鹿みたいなやり取りだった。
もう
彼は路地裏で馬鹿笑いした。
「久しぶりに笑ったよ。確かにそうだ。でもいいのか。もう俺達はまともな道は歩けないかもしれないのに」
「だからまともとか気にすんな。現代を生きている奴らでまともなやついるか? 魔法が題材の
俺も意味不明な会話をして二人で何事もなくこの場を去ろうとした。
すると赤い光が彼の胸をつらぬいた。
何も言わない彼は目を開けたまま倒れる。
うそだろ?
頭には何も言葉が浮かばず、立ちつくすだけだった。
「ヤハリ君ハ選バレタ怪人トシテ作ラレタカ」
声のする方へ俺はジャンプし、いつの間にか怪人になっていた。
相手もただの怪人じゃない。
俺の攻撃を受け止めている。
声の主はむかし見た青年の姿に戻った。
「久しぶり。
いつの間にか怪人の姿でもほどけない糸にからまれていた。
「チラシ
「くそ。てめえ! なんであいつを!」
「
何をむちゃくちゃな。
生活に影響が出るケガをした人間をなんだと思っている!
「話を短くしてくれないか? ろくでもない理由で俺達を利用しているだけなんだからさ」
青年は動けない俺を前にまだ話を続ける。
「怪人になれば
だから仲良くなろうとした彼を殺したのか。
気がつけば彼の死体がない。
「彼の死体なら
観察は相変わらずか。
だから
「これから
はは。
そうかもな。
俺もそれで勝ち続け、負けては
友達を助けられず誰かに食われるなんて初めてだ。
もしかしたら俺は自分を
なら俺は……
「ここで負けるわけねえだろ」
「なんだって?」
「あんたより弱く作られた怪人だとしても、俺はあんたに負ける気はしない!」
怪人となって糸をほどき、奴の顔に拳をめりこませた。
「ふっふっふっハッハッハ。特別ナノハ君ダケジャナイ!」
「じゃあお前は
だからってほんとに
奴の身体からありとあらゆる危ない部位を破壊しようと何度も殴っては反撃を受ける。
このままだったら負けるかもしれない。
仲間達は死にたかったかもしれない。
俺もプロ格闘家だから身体面の不安はいつでもつきまとう。
でもそれは社会がマイノリティを許していないから。
世界は俺達に優しくない。
だからこそ俺は彼らの力になりたい。
一人だけじゃどうにもできないから。
だから、だからここで倒れるわけにはいかない!
「ふせろ
この声は?
まあいい。
俺は声の通りにふせ、奴に
「ナゼダ! モウ、
「そうやってなんでも見下すから計画が
言いたいことは山のようにあった。
その前に双子の弟へ感謝をしよう。
「
「
「ところでお前の言うクモびと、俺の友が倒れていた死体があったはずだ。
「女子高生が片付けていた。だから
謎が謎を呼ぶ。
女子高生?
まさか?
──恵まれた者は死に、満たされない者になりかわる
文章とエコーチェンバーで成り上がったアラサー達はインターネットを上手く利用したつもりで足元を見ることが出来ず、どこにでもいる女子高生に
パワハラとか知らない世代とは思わなかったからこれも
まさかただの人間のままでバイト先の
「格闘家さんはどうしているかな」
きっと
その
緊急連絡先に
「人生は思う通りにいかない。あなたが
彼一人の力じゃない。
そこまではなんとなく。
確かめに行こうか。
推している
3話へ続く。
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