第2話 怪物と澪の過去
彼岸獣を倒した日の翌日、漆奈たちは姫色の家のベッドで起床した。
「うーん。よく寝た。」漆奈は時計を確認すると、8時40分を指していた。
「今日は運がいいな。今日が休日だから、昨日の疲れをしっかりとることができる。平日ならDLでの仕事もあるしな。」
起きた後に寝室を出ると、別の寝室で寝ていた澪と出会った。
「澪ちゃん。おはよう。」
「あ、おはよう。姫色さんもさっき起きて朝食作ったから食べよう。」
漆奈は頷くと、リビングへと向かっていった。
2人がリビングへと着くと、姫色が朝食の準備をしていた。
「あら、あんたたち。おはよう。」「おはよう。姫色さん。」「おはよ。姫色さん。」「朝食の前に顔を洗ってきなさい。休日だしあんたたちはゆっくりしてなさい。」
それに二人は頷くと、洗顔をし、食卓を囲んだ。
三人は談笑をしながら、朝食を食べていた。
「そういえば、澪ちゃんがここに来てから、10年になるね。」
「そういえば、そうだった。」
「ふふ、もうそんなに経つのね。漆奈は13年前になるわね。澪は孤児だったからか漆奈とはここに来た最初はそこまで話さなかったのに今は仲良しさんね。」
「もー、からかわないでよ。姫色さん。」澪が顔を膨らましたのを姫色は宥めた。
朝食を終え片付けが終わった後、姫色はとある捜査資料を読んでいた。
「姫色さん。何の資料を読んでいるんですか?」
漆奈と澪が訪ねてみると、姫色が答えた。
「ああ、これね、最近出没している彼岸獣に似た怪物についての資料なの。見てみる?」
漆奈と澪はそれに従って資料をもらい、読んでみた。その資料には紫髪で肌は肌色、体型は中肉中背など人間の原型はあるが、目が結膜も含めて赤に染まっているまさしく怪物にふさわしい写真が添付されていた。
「最近、出没したやつでね、近くの農家の家畜とかが被害に遭っているっぽい。被害に遭った家畜に付着したその怪物の痕跡からDNAを調べてみると、その怪物、人間と彼岸獣の両方のDNAが同時に解析されたの。」
「彼岸獣と人間の….ハーフということですか?」
「….そういうことね。」漆奈の問いに姫色は苦々しい表情で返した。
「彼岸獣にも人間に自分の因子を感染させることで人間を彼岸獣と人間のハーフにする種もいるわ。感染の度合いには人間の部分がなくなって100%の彼岸獣になることもあるけどね。人間の部分が残っていれば理性を取り戻すことも可能だけど、100%彼岸獣になっていれば、もう手遅れね。」「そんな…」澪は驚愕した表情でそう言った。
「まあ、人的被害は出てないけど念のためあんたたちも外に出るときは気をつけなさい。もし、完全に手遅れなら、私に知らせなさい。」
「…はい。私はもう課題があるから行くね。」そうも澪は返事すると、自室へ戻った。その後漆奈はもう一つの資料を見つけた。
「これは、澪ちゃんがこっちに来た時の年の事件ですね。」
「そう。澪には元々両親がいたんだけど、交通事故で亡くなってね、だけど、その事故の現場の近くにさっきの人間に似た彼岸獣がいたらしくてね、関連性があるらしくて調べてみたの。さっきの話もあって調べてたの。」姫色がそう話すと、漆奈は資料をとって見てみた。
「なるほど。そういえば、自分もこの事件について調べたことがありますが、彼岸獣は人間時代の名残か、逆さにした傘の耳飾りをしていたらしいですよ。」
「そうらしいわね。でも犯人はまだ見つかってないらしくてね。」
「そうですか。」
「まあ、私たちではまだできることはないし、漆奈もゆっくり休んでおきなさい。」「そうですね。ゆっくりしておきます。」そう言うと、漆奈と姫色は解散した。
3日後、漆奈と澪は夜の帰路を歩いていた。
「いやー、DLでの講義疲れたね。おかげでこんな夜遅くになっちゃったよ。」
「確かに、俺は大丈夫だったけど、今回の範囲は澪ちゃん苦手なんだっけ?どうだった?」
「ああ、ちょっとわからないところあるかも、後で教えてくれる?」
「いいよ。」
二人はこんな会話をしながら帰路についていた。すると、2人の隣を家畜を積んだトラックが通った。
「ああ、澪ちゃん。ちょっとトラック通るみたいだし、譲ろう。」
「うん、わかった。そういえば、この前の怪物は家畜を襲ってたんだっけ?もしかして、あの中に隠れてたりして、」
「ははは、まさかそんなわけ,,,」
2人がそう話していると、トラックから轟音と共に大きな穴が開き、人型の何かが飛び出した。
「??!!!!」2人はその光景に驚愕した。
その何かはまさに三日前に話していた怪物そのものだった。
辟者18th 鎌田試作 @kamatashisaku
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