春節企画10 2025

春節企画10 2025

　もうそろそろ春節。梅の花もほころぶ時期だというのに、あまり暖かくならず春らしい日差しという雰囲気でもない。

　今年はへび年ということで世間的には龍のお飾りは消えた訳だが、海外向けのアピールとなるとある程度意味がわかるようにオブジェを並べる方が都合がよくて、十二支のお飾りを並べて写真を撮るのが、説明が不要でそういうモノなのだという話がしやすい。オリエンタルゾディアックとかそんなことをいっておけばよくなる。

　そういうわけで、いま会社の受付の脇には紅白の幕の上に十二支が並んでいるのだけれど、それぞれ皆がお土産で持ち寄った十二支なので奇妙にバラバラなものになっている。

　虎と牛と龍とウサギがそれぞれ野球チームのマスコットで、え？なんで牛が？という話は長くなるので割愛するが、野球十二支が始まった最初の一手は牛だった。ネズミは浦安から羊はニュージーランド土産からイノシシロイヤルコペンハーゲンから犬は三和銀行のマスコットがそれぞれ集まってきた。

　いやね。ほら。野球チームのマスコットで十二支とかムリだから。

　そういうわけでいくらかゲスト出演を願っている。

　家に置いておけばガラクタとして扱われやがて捨てられるしかないようなヤツラだが、どいつもこいつも面構えが違う。

　涙枯れ果てたような色あせた感じの笑顔も味だ。

　二度目の生をここで謳歌して一年に何日かそろい踏みしているわけだよ。

　ガラクタとはいっても実は年代物で出すところに出せば驚くような値打ちものであるのは、実は秘密だ。

　少なくとも枯れススキのようなものとは少しばかり違う。

　そんな感じで塩ビのオブジェを賑やかに並べ終えて何枚か写真を撮って退社する。

　年を越してひと月もすると日は少し延びたようだが、まだ夜空は深く暗い。

　月が大きく見えるのは、空気が乾いているせいもあるのだろう。

　ボクに大それた望みや希望があるわけではないのだけど、せめて知っている人たちが幸せな一年であるといいと思う。