第4話  アタシの道理


 4話


 あれから連絡したらクロホの親父さんは二つ返事でOKしてくれた。

 どうやら娘に店を任せたいけど、身内びいきだと社員から反感を買って任せるに任せられなかったらしい。


 で、新しく空白地帯が出来たから早速出店準備をさせるためにモービルカを飛ばして来たそうだ。

 先に来た嫌味っぽいカランと名乗った女は黒塗りのクルーザータイプのモービルカに乗って来ていたが、クロホちゃんは新しめではあるが使い込まれた雰囲気の軽モービルカで個人的に好感が持てるんよね。


「そんでここが建設地か。いずれでっかいモールにするんだからでっかい駐機場とか最初から作ったら良いんじゃない?工事もしやすいしさ」


「良いんですか!!私としてはお金が貯まり次第段階的に大きくしようと思ってたのに」


「心配すんなよクロホちゃん!今にこの領地と言えばにクロホモール!ってぐらいにしてやるよ!」 


 クロホは目を見張ると飛び上がる様に喜んでみせる。俺には商売の事は分からないからな、アエオニウのおっちゃんのオススメだし信用してみるか。


「いよっ!社長!じゃあ村の人から今何が足りないか聞いて来ますね!!」


 飛び跳ねていた勢いからそのまま軽モービルカに飛び乗って走り出す。

 

 まあ、悪い子じゃなさそうだし頑張ってみよう


 そのまま予定地の検分を進めていると、遠くに爆発音が響いた。


「なんだ?おーい皆は作業しててくれ!ちょっと見てくる!」


 トラックタに乗って音のした方に行くとクロホの軽モービルカが横転していてその横には謎のトラックタが居た。


 「クロホ!!カランめぇ!山賊だったか!くたばれ!」


 トラックタを加速させて敵のトラックタを突き飛ばす。しかし自分からジャンプして敵は身軽に着地した。


「このアタシをコケにしてこのままで済むと思わない事ね!!その乳臭いガキに店なんて出させてたまるもんですか!!アタシの商圏にするんだよ!!」 


「カラン!嫉妬は見苦しいぞ!こっちの欲しいモノを売ってくれる人にお願いするのが商売の道理でしょうが!!」


「アタシの道理はアタシの手から高い買い物してくれる人間を増やす事だよ!!金が無いならアタシの金になる売り物を黙って作ってれば良いものを!バリュー!あのガラクタをスクラップにして下取りに出すよ!!」


 バリュー?あのトラックタの名前か!小銭みたいなものを打ち出して来た?!


「パワーは土木用トラックタには敵わないよ!でもね、射撃とこのバリューの機体スピードにアンタはついてこれないだろう!!このままなぶり殺しにしてあげるさぁ!」


 ガンガンと装甲板に銭が当たる音が響く。

 必死に追いついてぶん殴ろうとするが、こないだの山賊どもとはモノが違うのかしっかりした身のこなしで交わしつつ攻撃してくる。


「そしてこの銭で……銭剣!!」


 あちこちに飛び散る銭の形をした弾丸が剣の形に合体する。


 ユラリ………と武術の心得がある動きと独特な足運びで動きが止まっていた俺のトラックタの左腕が落ちる。


「ハッ!畑仕事しかした事が無い田舎者が粋がるからこうなるんだよ!!」


「アンタ程じゃないさ!」


「なに?」


 もう一撃切り込んでくる体勢で動きが止まる。


「アンタ商売人を目指している人間じゃないな?その動き、武術を長くやって来た人間のそれだ。慣れない商売人の真似事なんざするから相手にされなかったんだ!」


「うるさいよ!!」


 もう一度振り下ろされた銭剣に拳を突き出す。

拳を切り裂き、手首を破壊したが、銭剣は前腕の中ほどで動きを止める。


「そんなにスピードが出るって事は軽いんだろ?そぉれっ!」


 腕に剣を食い込ませたまま押し込む。するとバランスを崩したのかバリューともつれあう様にして地面に倒れ込む。


「これでお前も俺もトラックタは使えない。大人しく出てくるんだな。」


 俺は運転席から降りてバリューの運転席の扉をバールを使ってこじ開ける。

 

 中からナイフを突き出して来るが、分厚い手袋をしているからそのまま掴む。力ずくでナイフを取り上げるとそこには啜り泣いているカランが居た。


「お父様、お母様、すみません。道場を買い戻せない……どうしよう……ごめんなさいごめんなさい……もう娼館に行くしか……でも始めては好きな人と……好きな人が助けに来て……誰か……」



「あのー、そんなに泣いてたらこっちが極悪人みたいだから取り敢えず降りてきて話を聞かせてくれない?あタオルあるよ」


 サッと綺麗なタオルを差し出して運転席の扉を閉じる。


 「さってと!!親方にどやされてくるかな!」


 「いや待って下さいガギュウさん!トラックタの部品なら少し持って来てるんです!!少しは修理も手伝えますから親方さんの所に行くなら一緒に行きませんか?そこのバリューって機体も直したいですし」


 「直すのか?」


 「彼女も最初からアコギな商売がしたくて来た訳じゃないと思うんです。それにカランって言ったらカラン・フェルディアーナじゃないんですか?ベンケイ流の剣の達人ブロス・フェルディアーナの一人娘!あの道場は今地上げ屋とゴタゴタしてるらしいんですよね」


 なるほど……やむにやまれず……って所か。なんか後味悪いな……

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地方創成〜田舎民だけど村長に据えられたので過ごしやすくしたいぜ……〜 コトプロス @okokok838

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