第3話 発展させてやるぜ!

3話 発展させてやるぜ!




「早く発展させねば」


 ほぼむりやり引っ越しさせられた執務室て俺は頭を抱えていた。

 だってそうだろ!!今までアホアホ領主の使い込みでお金が無かったんだから!

 もうちょっと街との行き来を楽にして商業施設も誘致したい……

 基部は街作りシミュ

 商人とか来ないかなぁ


「ガギュウ!お客さんだ!通すぞ!」


 ドアをバァン!と開けてアエオニウのおっちゃんが1人の女の子を通す。ニタニタと気色悪い笑みを浮かべた嫌味っぽい顔つきの女だな


「こんにちは私はカラン。トジ商会の者ですわ。今日はここの領主様が変わったと聞いて商談に参りましたの。」


 促してもいないのにずんずんとこちらに来てソファに座りカタログを取り出す。

 図々しくない?

 俺も礼儀には詳しくないが、こっちの挨拶も待たずに椅子に座って荷物広げるとかちょっとアレじゃないか?


「それでですね、私のイチオシはこのスポーツタイプのモービルカとこの時計です。田舎者だとナメられて足元を見られる事がこれから沢山ございましょう。そんな時に泊のあるモノを身に着けて居れば、相手に一目置かれる事になります。」


 さぁ買え!!と言わんばかりに高額商品ばかりのオススメしてくる。

 しかも実用性の無いモノをだ。

 いや、モービルカも時計も必要だよ?

 でも、スポーツタイプって2人乗りだし荷物積む所無いしさ。

 時計なんて端末で時間確認出来るしさぁ……


「そんなガワに気を使う余裕は無いんだよね?どうせならトラックタの部品とか欲しい」


 あっ、ニタニタ顔だけど目の奥が笑って無い

 薄気味悪いなぁ……


「俺はね?つい昨日「変わりに領主やれよ」ってここに押し込まれただけの農民だよ。キラキラして高価なモノに価値が無いとは言わないがさ?先にこの村を充実させる為に金を使いたいんだよね。あ、コンビニとか誘致できる?」


 目尻がピクピクしてる。

 金づるにしようとしたけどうまく行きそうに無くて面白くないんやろな。


「スポーツモービルカ買う金があれば、村で使ってるトラックタを先に新調したいな。トラックタのカタログ無い?」


 ぷるぷると震えだしたカラン。しかし諦める様子を見せずにまだ食い下がる。「では、どのような物をお望みでしょうか?お金が無いというならば、対価にはここで作られる農作物でも構いません」


 ははあ、さてはソレが目的か。

 作ったモノは組合で管理してて持って行き先は全て決まってるんだがな。

 まあ、街では生鮮食品の値段がアホみたいに上がってるから横流し品が欲しいんだろうな

 喉から手が出る程には


 さてどうしたもんか、

 ここから先は押し問答になるし、色良い返事が返って来るまで帰る気は無いんだろうな。


「こ、こんにちわー!アエオニウさんの紹介で来ました!クロホと言いまーす!誰かいませんかー!」


 俺は目の前のカランに「失礼」と断って声の主を招き入れる。


「あいてますよー!どうぞこちらに!」


 フフフ………カランと同じ様な手合いなら潰し合わせてやるぜ………


「おぉ、クロホちゃん君が来るなんてサンデルの奴も思い切ったな!さあ疲れただろう?お茶でも飲みなさい。」


「なんですか貴女いきなり、こっちは大人の話をしているんです。外で遊んでなさい」


 えっ、お前がソレ言う?そのセリフ吐く権利があるワイとアエオニウのおっちゃんは招き入れてるんだから黙って見てなよ(ヽ´ω`)


「あ、ガギュウさんですね!私はクロホと言います。アエオニウさんの親戚で今回はこちらにお店を作らせて貰えないかとお邪魔したんです!!」


「お店を作りたいというと……どんな?」


「さしあたっては問屋ですね。村で足りないモノを聞いて回って、欲しがってる物をあちこち回ってかき集めて来て売ります。規模がデカくなったら幹線道路を開いてくれませんか?いつかイオーンヨーカドーみたいな総合販売モールを作りたいんです!!もちろん中のテナントにこの村の商店の人を優先的に入って貰ってですね、そしてそして!屋上にはホビーノ・トラックタやゴール・モービルカに乗って遊べる遊園地を作りたいんです!不況不況でしょぼくれたニュースばっかりじゃないですか!!だから毎日がお祭り騒ぎみたいなでーっっかい!クソデカのモールを作ってアタシはそこの女帝になるんです!そしてお店に来た小さい子供に食べきれない程のお菓子をくれてやりたいんですよ!!!!」


「ふむ、模型店呼べる?」


「ドンプラ、美少女プラ、トラップラ、モービルカプラ!工具塗料工作資材に模型雑誌!全部まるっと置いてるでっかいのを入れてあげます!!お好きなら店長になりませんか?」


「採用!!!!ウチで手腕を振るってくれ!!欲しいものはどうにかして全て揃えよう!!」


 俺とクロホが抱き合って涙を流す。

 天使や!天使が来たんや!!毎日畑仕事頑張ってて良かった!!


「ちょっ、ちょっと待ちなさい!私が先に商談に来たのになんなのよソイツは!!」


 カランが半狂乱の様になって糾弾してくる。

 まあメンツは丸つぶれではあるな

 だけど明らかにコイツワイの足元見てたし………

 いっか!


「あ、申し訳ないが、今回は御縁が無かったようで、貴女の今後ますますの御活躍を期待しています。」


 (っ`ω´c)ギリィと人が殺せそうな視線で俺とクロホを睨んだ後にバァン!と扉を閉めて出ていく


 ワイの後ろにいたアエオニウのおっちゃんが顔をほころばせてすっかり冷めたお茶を淹れなおす


「役人が来る前に来るああいうのが来るって、都会は魔境だなぁ、アレは都会から来たんだろ?こぞって憧れて向こうに住む気がしれないよ。」


 後ろで苦笑いしてたアエオニウのおっちゃんも頷いていた。

 そして本棚からブ厚い電話帳を取り出すと机の上にダァン!と置く。

 パラパラとめくって1枚の名刺を差し出して来るおっちゃん。


「ガギュウ、ここに連絡しろ。古い知り合いでコイツの所からクロホの嬢ちゃんは来たんだ。挨拶は大事だからな」


 了解っと

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地方創成〜田舎民だけど村長に据えられたので過ごしやすくしたいぜ……〜 コトプロス @okokok838

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