第五話 白の魔法使い
午後になる寸前の時間、周囲にはモンスターたちがうごめいています。
召喚された時に出会ったあの勇者パーティの二人組が少し離れた場所にいました。彼らは少し離れた場所から、私たちの様子をじっと観察しているようです。
「ねえ、あのキングゴブリンっていうモンスターで試し撃ちしてみない?」
私の視線の先には、まるで山のようにそびえ立つ巨体の影があります。それは、五メートルもの身長を誇るキングゴブリン。私はその巨大な影に向かって一歩を踏み出しました。
「試し撃ちにはもってこい……な敵ですね……」
勇者達の視線を感じつつも、私は気にせずに魔法を使うことに決めました。心の中で緊張しながらも、力を込めて呪文を唱えます。私の周りに光が集まり、静寂を破るように響き渡ります。勇者たちの反応が気になりながらも、私はただ、自分の力を信じて前に進むことに。
「はあ……またあの虚言癖野郎か……」
勇者達は冷ややかな視線を私に向けます。
そして私は、初級魔法である火炎魔法、エクリクシスを使用。
「エクリクシス!」
轟音と共に大きな炎はキングゴブリンのその巨体を包み込みます。鮮やかな火花の中、あまりにも簡単に上級モンスターであるはずのキングゴブリンは倒れました。
その一部始終を目の当たりにした勇者パーティの一人が、驚愕の声を上げます。
「はあぁああぁあ!? あの威力バケモノだろ!」
「ゴブリンの中でも強いキングゴブリンをこんなにやすやすと! 兄さんこの人恐ろしいです!」
心の中で彼の勇者である兄は冷静に考えた。
(まてまて……あれは上級魔法とかだろ…… きっとMPを大量に消費している。それなら、あの威力は妥当だろう)
「上級モンスターを一撃で……クレシアさん! 凄いよ!」
と、ゆづきさんは興奮気味に言いました。
「そうですね。この魔法は初級魔法なのにこの威力……とても使える魔法です……」
(はあ? あの音鳴らしといて……初級魔法だと! 何を言ってる……さすがに嘘か何かだろ)
その時、勇者の兄が弟の方に視線を向けました。
「あれやってくれ……」
「分かりました! 兄さん……」
彼は、相手の能力を見ることができる魔法「シースルー」を唱えました。そして、彼の目には私の能力が映し出されます。
「はあ!?」
「うん? どうした弟よ!」
**初級魔法強化**
初級魔法の攻撃力アップ
**詠唱時間ダウン**
−100%
「いかれてますよ! この人……」
彼は目に映ったその能力の内容を、驚きと共に勇者である兄に伝えます。
「たった二つの能力だが、こいつチート過ぎるだろ! なんでも切れる能力の俺でも勝てないぞ……」
「てか−100%っていう能力が一番イカれてる!」
「確かに……用はマシンガンのようにあの技を撃ってくるって考えると恐ろしいですね……兄さん……」
私は二人組がうるさかったので彼らに話しかけることにしました。
「どうかしましたか? そこに居るんですよね」
彼らはビビリながら素早くこちらに来て、素早く私に向かって、土下座をします。
「なんでもありませんよ……! 敵意などもありません!」
「馬鹿にしてすみません!」
「帰るぞ……弟よ……」
白の|魔導書使い《グリモワール》〜最強魔導書使いは成り上がる〜 YamiYami @YamiYami24
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