第2話 似た者同士の俺達は冒険に出る

「今はテイラー家を追放されたので私はフリオス・テイラーではなくただのフリオスになりました。」


フリオス・テイラーと呼ばれたから俺はそう訂正した。俺はもう貴族ではなく平民になったのだから。


「そうか。奇遇だな。私も今ロス家から追放されてブレイズ・ロスからただのブレイズになったのだ。だからそうかしこまる必要はない。」


伯爵家のロス家は魔法に精通しており代々優秀な魔法使いを輩出してきたことで有名な貴族だ。そのためブレイズは魔法学園に通っていた。


「そうですか。しかし今までしてきたことを急にやめることはできないので慣れるまでは敬語でいきます。」


「そうか。」


「失礼なことを聞きますがなぜ追放されたのか聞いても良いでしょうか。私は通っていた学園に勇者がやってきてその才能に嫉妬して嫌がらせをして追放されました。」


「そこまで聞いてしまってはこちらも教えなければいけないな。いいだろう。私が追放された理由は君と似た理由だ。こちらの学園にも勇者が転校してきてね。そいつに私の婚約者がとられたから決闘を申し込んだんだ。そして負けた。そしたらやった覚えのない悪行を次から次へと述べられてね。濡れ衣を着せられて追放されたんだ。」


「そうだったのですか。しかし濡れ衣なら弁明すれば良かったのではないですか?」


「もちろんしたさ。けど誰も聞いてくれなかった。それに私は魔法の才能がなく焦っていたんだ。弟よりも才能がなく抜かされていくばかり。だから正直追放されて楽になった気がするんだ。もう何も気にせずに過ごせると思うと追放されて良かったとも思うし諦めて良かったとも思った。」


彼から追放されて良かったと聞いて俺は驚いた。しかしそれを聞いてスッキリした。俺も才能が無くて兄弟ばかり才能を開花させて劣等感にあった。だから嫉妬して勇者に嫌がらせしたんだ。今はもう反省している。嫉妬してたとしてもそんなことはしてはいけないってことを。だからいつか謝りたい。これはきっともう周りを気にせずに過ごせることになったからこそできた考えだと思う。プライドが消えたんだ。


そうか、俺も追放されて良かった思ってるんだ。もう周りを気にして焦る必要なんてないんだ。


俺は彼に親近感を感じた。


「ブレイズ様、いやブレイズ。提案があるんだけど聞いてくれないか。」


「ああ聞くとも。して提案とはなんだ。」


「実は俺も才能のせいで劣等感を感じててさ。だから追放されてよかったって思うしそんなことをブレイズも思ってるって知って親近感が湧いたんだ。だからさ俺はブレイズ、君と冒険に出たいんだけどうだ?」


ブレイズは驚いたような顔をしてその後笑った。そして


「いいな。もう何も気にする必要はないんだ。自由に冒険するのも悪くない。それに冒険には憧れてたんだ。自由に行きたいところに行き世界を見て回れる。最高じゃないか。」


「奇遇だな。俺も冒険には憧れてたんだよ。」


「「ハハハハハハハハハ!」」


俺達は考えてることがあまりにも似ていたから笑った。そして


「じゃあ行こうぜブレイズ!」


「ああ、行こうかフリオス!」


追放された俺達は冒険に出発した。






「それにしても勇者に決闘で負けて追放とか異世界人の書いた物語に出るかませ犬みたいだよな俺達。」


「確かにそうだな。じゃあかませ犬の私達がどこまでいけるか楽しもうじゃないか。」


「そうだな。それじゃあかませ犬二人の冒険の始まりだ!!」


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俺達かませ犬!~追放された二人冒険に出る~ meru @medaru

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