12月にぴったりな短編を紹介させてください!
今年(2025年)の1月に読んだのですが、12月に読まなかったことを後悔したので、12月にレビューを書こうと密かに思っておりました。
この作品はジャンルとしてはSFになるのでしょうけれど、まずとにかくオシャレ。
舞台はパリなのですが、冒頭からオランジェリー美術館、チュイルリー庭園、コンコルド広場と、具体的な地名がぽんぽん出てきて解像度の高さをうかがわせます。
そして夜のパリを旅するのは、イタリア・ドゥカティ社の空中バイク!
バイクの持ち主は、革ジャンに三角帽子の(口の悪い)魔法使いの女の子。
これでもかとロマンを詰め込んだような舞台・アイテム・キャラクターは、男女を問わず強烈に「好きな人は好き」な世界なはずです。
主人公の青年は、会津から来た美術系の留学生。
会津というところがまたいい。
東京や京都ではなく会津の話が挿し込まれることで、さらに物語全体の解像度が上がっていきます。
空から見た街の描写や地上に降りての描写も、自分が異国を旅しているように感じさせてくれます。
こうしたロマン全開な作品は、ともすると現実を見失いそうなこともありますが、空の旅を終えた終盤の主人公のモノローグはしっかりと地に足がついていて、そこから自分の足で歩いていこうという力強さを感じました。