フーカ

 

 フーカに込められた名前の意味は。


 風のように飛んで、花のように綺麗な歌声を聞けたらって。


 そう名付けられた。


 でも、その少女は、少し前、戦闘の流れ弾で命を落とした。


 戦闘の後、その爪痕が残る中、死体を回収。


 その死体を家族から了承を得て改良した。


 




 なるほど。

 この心の持ち主はその人で、私はその人だったわけか。

 多分、飛行すると聞いてブルっとしたのはやっぱり高所恐怖症だったからではないだろうか。


 今お母さんに聞いたら、そのような話はしてないそうだ。もしかしたら、高所恐怖症だったかもしれないな。怖いけど、飛びたい。


 彼女は怖いと思いながらも、その恐怖に勝ちたかった。

 その一つが、飛びたいという夢だったのかもしれない。

 一生聞けない、その答えは各々で考えることで、その人を補完するに至る。


 恐怖に打ち勝つ象徴が、今必要なのかもしれない。

 恐怖を無くし、痛さをなくす。

 戦闘をよしとする人にとってみれば、それは飛びつくネタだろう。



 私は、手を見つめ、その先の指を見た。


 私の体は、鋼だけど鋼を作って、研究してくれた人への思いが溢れる。

 涙はもちろん出ないが、心は動いた気がした。


 この体を構成するに至った前の自分に思いを馳せた。

 この体は、どうしてか、動いている。それだけでも奇跡に思える。


 もっと遡って、人間ができたところまで遡る。


 どうしてだろうと思いながら、手が動く。


 手動で、飛行スイッチを押す。


 私は、飛んだ。


 飛んだのだ。


 

























 白い空も越える。


 あなたを人間として再生することは難しくても、と改良された私は、人と機械のハーフになった。あなたは星になり、私産んだあなたも、私を作ったあなたも、一番星を作り上げた人となる。


 そんな世界で唯一は、あなたにもあるかもしれません。


 だって、あなたも人間ですもの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私の体 けんぴ @hifkho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画