第11話 魅惑スキル
女傑としか言えない女王が、20代も後半、アラサー女が可愛く甘えて、体を摺り寄せて、おねだりをし、愛の言葉を求め、喜んでいる、ベッドの上で。彼女の体臭、不快と言うほどではないが、可愛らしさが似合わない、そして弾力はあるが柔らかさに欠ける体等々好みから外れているのに欲情している自分にマックスは、自分がよくわからなかった。
魅惑スキルは、今回初めてというわけではなかった、その使用は。だが、全開、思いっきりということはなかった。強奪のスキルは、そうではなかった。そちらの方も躊躇することはあった。使ったら、他人の人生をめちゃめちゃにしかねないのだから。処刑前の極悪人とか、襲って来た敵兵、魔族、討伐対象の野盗、山賊とかに使った。次の瞬間には死んで、この世からいなくなるからいいだろう、俺が有効利用してやるんだ、ありがたく思え程度に思おうとしてきた。
賢者のスキルもあるようだったが、本来持っていたのか、どこかで気が付かないうちに強奪したのか。凶悪犯の連中の中に、それを持っていた奴が、信じられないが、悪党の賢者・・・いたかもしれないし、当人が気が付いていなかったのかもしれない、その場合。
それはともかく、自分が魅惑スキル全開にした結果がこうなるのか、と彼自身驚くくらいに女王は可愛い乙女になっていた。それでも、
「全ての魔族との共存は難しいのでは?」
「全てではなくていいのさ。6割、7割でも何とか説得するさ、勇者を。あれは、善人で理想家だけど、現実が見えない奴ではない。でも、いろいろもうちょっと積み上げられるかもしれない。私では無理だけど、やれる奴らを知っているから。」
「あなたも意外に悪党・・・。ますます好きになっちゃった。」
「あなたが、賢くて助かったよ。」
彼は、女王に優しく、また口付けをし、かつ彼女の唇を嘗めまわした。
彼女には、"愛してる。かわいいよ。きれいだよ。好きだよ。美しいよ。"と彼の心の声が聞こえてくるように感じた。同時に、恥ずかしげもなく、そういうことを声をだして囁いて来る。
"あー、心も、体も熱くなってくる。亡き夫とも、亡き愛人でも、こんなの感じたことがないー!だめー!"と心の中で叫びながら、彼に抱きついてしまった。彼女は結局、自分では覚えられなかったくらい感じてしまった。
次の日、弟の皇太子、王族、側近、宰相、その他高官たち、将軍達などを前にして、女王と賢者との、魔族全てとの平和、共存について激しい論戦が演じられた。もちろん出来レース、三文芝居である。
「殲滅しようとしても、無逃げたものを魔界で追っていても補給線が伸びきって、前線の将兵の補給が困難になり、食糧、武器も不足してしまい、そこを狙われて全滅しかねません。また、瘴気などでの病気、慣れない気候などでの死者もかなりになるかと思います。そうなれば、兵を送った国の国力の衰退となります。」
ともマックスは言ったが、これが一番効果があったようだ。
「平和、共存を受け入れる魔族とは、平和、共存を図ることに同意いたしましょう。全ては、賢者殿の交渉の結果を見ての上でといたしましょう。」
女王と、賢者に条件を付けた上で譲歩したが、大部分の者が同意する表情だった。
「賢者殿、どうかご無事で。」
と魔族好戦派との交渉に出発するマックスを女王は、感情を抑えて見送った。
「後はわしにまかせておけよ。」
その声に、苦笑しながら手を振るマックスだった。
魅惑スキルは正しく使ったつもりだったけど 確門潜竜 @anjyutiti
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