第10話 女王を堕としちゃったら・・・

「勇者は善人過ぎるんだけど、彼の純粋な善良な理想を相談されると、少しでも助けてやりたいと思うんだよ。」

「マックスは、優しいのね。」

とマックスは全裸で、やはり全裸の女王とベッドの上でともに快感の余韻を味わいながら、唇を貪りあって、魔族との共存を話し合っていた。


「ゆっくりとお話をお聞きしましょう。でも、遠路はるばる旅をしてお出での賢者様はお疲れでしょうから、今晩は宮廷にお泊りになって、おやすみ下さい。明日、またゆっくりとお話しましょう。」

と女王は提案してきた。それに同意すると、浴室を使って旅の汚れを洗い流すように指示が来て、それに応じると、女王自ら全裸で浴室に入ってきて、もちろん、そこには全裸のマックスがいて、

「お背中を流しましょう。」

「そんな恐れ多い・・・。」

「私でお嫌なら、侍女の中から好みの者を選んでも構いませんよ。」

「そのようなことは・・・。」

「では、私でよろしいのですね。」

となり、そのままベッドインということになり、くんずほぐれつということにとんとん拍子になったのである。


"好みではないんだけどな・・・美人だし・・・かわいいじゃんいか?・・・そんなキャラだったけ?この人は?" 魅惑スキルで堕としながら、マックスは思った。

 原作では、彼が魔王を倒した後で登場するが、あまり詳しく容姿などについては記述されず、腹黒で残忍で狡猾な権力欲と強い、まあ悪党女で、最後は蜂起した民衆に八つ裂きにされることになっている。その王国が、暴政を、人間至上主義で亜人を虐げているという記述もあった。ちなみにマックスは彼女に魅惑スキルは使用していない。悪党、屑の共闘ということだったのかもしれないし、互いを利用し合う関係として描きたかったのだろう。

 実際マックスは、彼女のことは一般の人間が知る程度のことしか知らない。聡明なところから、祖父先々代王、この時には王位は子供に、彼女の父に譲っていたが決定したことだった。彼女には弟がいる。本来は彼を王位につけるべきだったし、彼女の祖父も両親もそのつもりだったが、彼女が即位した時には、まだ3歳だった。流石に赤ん坊を国王にするわけにはいかず、彼女を王太女としていたのだ。彼女の父が、彼女の弟がせめて15歳ななるまで生きていれば、彼が順当に国王にななっていただろう。が、そうはならなかった。中継ぎとして、彼が16歳になるまで彼女が国王として即位したということが暗黙裡のうちに同意されている。


 少なくとも、彼女は弟を王太子としてし、彼も今年15歳になっている。彼女の即位は、祖父、父の急死によるものだったが、それ故に彼女は困難に直面した。彼女の即位を認めない勢力の反乱、追い落としを図る勢力。彼女は、その危機を結果として短期間で乗り越えた。かなり危ないこともあったものの、権力基盤を固めることに成功した。そのためにはかなり荒っぽい手段も、陰湿な謀略も使っているが、それは正当防衛でもあり、その後の処罰で政敵の配偶者とその子供達をも冷酷に処刑しているが、世界の常識では寛大ではあった。その後の統治は、聖人のような、聖女のような、母性の慈愛をもった政策では全くなかったが、国も、国民も安定した統治を行っている。国も国民も、光と影はあるものの、その所得を増加させている。

 彼女は、即位後、夫を持っている。が、結婚5年後に夫が暗殺された。それに関連した者達を処刑しているし、反抗勢力への粛清をしている。その意味では、彼女は血に塗られている。が、それはある意味、平均的な君主である。反乱軍・敵国軍に捕らえられた自分の産んだ子供をあっさり見捨てて、その代わりに反乱軍を破り国を救うほどに合格点の君主、鮮血の戦女王とも呼ばれているけど。実の弟は王太子として、帝王教育と同時に軍人としての鍛錬・庶民の生活体験も並行して進めて、彼が次期国王となるための基礎さらに規定事実、議会や教会、あらゆるところに根回し済という律義さも併せ持っている。奴隷の扱いにしても、亜人の扱いでも、その生活を守っている。彼らの境遇は、他国と比べていい方である。敵対した場合は厳しい処置を与えているが。

 世の楽園などは築いてはいないが、経済の施策、農業・商業・手工業などにも気を配り、国はまあまあ豊かで、軍事力も充実しているし、近隣諸国との関係は安定している。

"原作とは変わってしまったのだろうか?"

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