ルカ 突如訪れた危機ー鳶が鷹を産むー
花森遊梨(はなもりゆうり)
生活保護のルカ
ルチアーノ、通称「ルカ」というハイスクール生がいた。収入源は返さなくて良い奨学金、生活保護、両親が転売しているフードスタンプ。
そんなナイフの上を歩くようなルカの暮らしの中、突如危機が訪れた。
36時間後には定期テストがある。そして何から始めて良いかがわからないのである
ルカはとりあえず落ち着くことにした、落ち着けばわからないことはない。
ハーブティーなどの落ち着く飲み物の淹れ方を調べようとして開いた部屋の本から面白い話を発見した。
文化人病・都会人病の新しい薬
トランキライザー
効能
・飲むと落ち着く
・落ち着くのでわからないことがわかるようになる
・これさえあれば先生も参考書も必要ない
・ノイローゼだって治っちゃう
・医学生だって御用達。頭が良くなりたいならまずカタチから入ろう
・あははははは大学大学大学!!!
こうして、ルカの今後の方針は決まった。
すぐに手に入れてこよう。これを使って落ち着けばわからないことの一つや二つ、すぐにわかるようになるはずさ!
トランキライザーをもとめ、ロングコートを纏ったルカは真っ暗な街へと旅立っていった。
定期テストまで残り12時間。トランキライザーは手に入りませんでした。
ビール感覚で薬物が手に入るはずはなかった。そもそも薬物はおろか不正行為で結果を出すのにも努力が必要だ。ソ連のオリンピックだって、選手はみんな自分のパワーを信じて飛び込んで努力を続けた。しかしそれでもダメだった、そんな誰もが諦め、天を仰いだそんな時、不正なドーピングが助けにきたからこそ、数々の世界記録が生み出されたのだ。
だから努力が足りない自分がトランキライザーを使ったが最後、知り合いの白い粉や魔法のキノコとの友人関係を迫られ、最終的にバッドスメルライスを嗜みに陸の孤島の別荘にバカンスに行く、旧ソ連出身のマーシャブさん(さそり座)と結婚という大オチが待っていたかもしれない
ルカは努力をしてみることにした。
実はテスト範囲もテストの時期も、全てを把握している。テスト勉強の計画も立てた。たまたま今回は実行だけができなかっただけである
・落第さえしなければ良い。暗記科目は捨てる
・数学や物理など、公式さえ頭に捩じ込んであればなんとかなる教科を軸にする
・学校の勉強なので、採点しやすさを見越して問題にパターンがある。
父親に買ってもらったカフェイン剤を嘔吐しない程度に総動員し、何回問題集の問題を反復できるかにかかっている。
そして、テストは散々な結果に終わった。補修は確定である。国から金をもらっておいて散々な結果だったこともさることながら、担任の先生が「悪いのは指導をした私だ」と本来は不審者用のピストルを流れるように自分の頭に向けて、ルカが引き金を引くのを止めようとして学校が大変なことになったことも大きい。
「何?あんた今回の成績悪かったんだって」
「ルカは自分のお金で高校に行ってんだぜ?これが苦学ってやつだぜえ‼︎」
「じゃあルカはやっぱり天才ね‼︎」
「「あははははははは」」
ルカの両親である。授かり婚
経済的理由により極めて修学が困難である人むけの奨学金の受給ができたのはこの両親のおかげだ。返さなくて良い奨学金を得ることを「経済的理由より極めて修学が困難を困難にする」ところから始めてくれた功労者と言っても良い
両親は単細胞だった。ルカを殴らない、人格を否定しない、奨学金を使い込まないが、フードスタンプは転売する。毎日のように寝室で少子化に立ち向かっている。
しかし働かずに一日中家でテレビばかり見ているし、勉強をしなくても何も言わない。
それがルカの克己心に火をつけたのだ。
このまま呪われた遺伝子に従って生きれば、国から金を掠め取って働かずに家で馬鹿笑いをする教育の失敗例としてシイッターは毎日炎上し、国の教育を後退させる悪魔のムスコと呼ばれ、いずれコーラで洗えば大丈夫と思ったという理由で呪われた悪魔の子を生み出す未来がまつ。
この両親の遺伝子に従い、薬物を追いかけ、計画を倒しておいて勇者ヅラをしている場合ではない。
高校生ルカの人生は、まだまだこれからである。
ルカ 突如訪れた危機ー鳶が鷹を産むー 花森遊梨(はなもりゆうり) @STRENGH081224
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます