世、妖(あやかし)おらず ー紅葉道ー

銀満ノ錦平

紅葉道


いつも落ちる秋の葉を見ると、幸せとともに虚しさも感じるのです。


それが自然の摂理なので納得はできております。


勿論、雪や雨も雲という寝床から自然と落ちてきます。


ただ生きておりません。


しかも私達を濡らしたり積もったりして迷惑をかけます。


私は、濡れるのも嫌いですし積もった雪に覆い被さられるのも大嫌いです。


そして…生命の強さを感じません。


生命が生命として生きることができるのはこの雨や雪なども必要なのは分かっております。


ただあれは気象現象なだけであって生きているわけではないのです。


意思もなくただ地球という巨大な生命体郡と地形の塊から発せられる、忌々しく大地に降り注ぐあの水の変化体が生命なわけがありません。


だから嫌います。


大嫌いです。


ですが…。


雨の降った後に紅葉が道を覆っているんです。


とても綺麗なんです。


濡れた雨の雫が紅葉を輝かせていていつも見惚れてしまうんです。


だからいつも私は、雨で濡れた紅葉道を歩くんです。


気持ち良いんです。


なんか愉悦な気持ちが走ってしまうんです。


先程まで木にしがみついていた大きな命の一部が誰かを迎え入れるように道になっているんです。


いつ見ても圧巻で絶景で私はいつも感動してしまうんですよ。


多分、私を迎えに来てるんだと思います。


あ、信じてないですね?


私だって未だに信じておりませんよ。


そう感じるだけです。


ただふとその紅葉道の先を見ると


必ず夕焼けになってるんです。


朝見ても昼見ても夜見ても


その先は夕焼け色に、光り輝いてるんです。


目の錯覚か私が紅葉に魅入られてしまい幻覚を見てしまったのか…。


だからこちらに来たのですが異常はなかったみたいですね。


やはり錯覚だったのでしょうね。


なら…。


今、病院の床に敷かれている紅葉道も錯覚なのでしょうか?


皆さんには見えてないのであればそうなんでしょうね。


もし明日も見えてましたらこちらに来ます。


ありがとうございます。











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