第2話 オールハイルミルキーウェイ!
俺は百合に挟まる資格がある。やっとそれに相応しいカップルを見つけたが前途は多難である。そんなときだ。
「殿下。皇帝陛下が崩御なされました」
「あ、そう」
「あ、そうって?!なにいってるんですか!一大事ですよ!」
俺のお付きである勘解由小路式部大輔厳治郎が大層慌てている。
「落ち着け。人なんて簡単に死ぬ。いちいち驚く必要はない」
「いやいや。そんなこと言ってる場合じゃないですよ!お隣の神聖アンドロメダ共和国との緩衝地帯で崩御なされたんですよ!このままだと両国の緊張がエスカレートしかねません!」
「ふむ。それに俺に関係ある?」
「あるに決まってんだろうが!次の皇帝はあんたでしょうに!」
勘解由小路式部大輔厳治郎は絶叫し始める。うぜえ。
「じゃあ辞退しまーす」
「出来るわけねーだろ!他のぼんくら皇族に任せられるか!あんたが上に立つほかないんだよ!」
こうして俺は朕になった。ちーん(´・ω・`)
だからと言って俺は学園に通うのをやめない!学園は皇帝がチェンジしたことで話題がスパークしていた。
「新しい皇帝陛下イケメンじゃね?」
「だよな。若き英雄万歳!」
「抱かれたい」
おおむね評価はいい感じらしい。ちなみに俺が学園で正体がバレていないかと言うと顔の半分が前髪で隠れているからだ。これによって皇族の証である紫色の瞳を隠しているのである。まあそれはいいとして。百合カップルだ。俺は例によって保健室に向かう。
「ミカモ……好きぃ……」
「ライハちゃん……愛してるぅ……」
例によって二人は乳繰り合っていた。例によって俺はドローンで撮影した。そんなときだ。スマホに緊急放送が入った。校舎のあちらこちらから鳴っていることから全国民向けのようだ。
『神聖アンドロメダ共和国。我ガ帝国ニ宣戦布告ス』
お、おう。どうやら世界は激動の時代に放り込まれたらしい。俺はただ百合に挟まりたいだけなのに!こんなのあんまりだ!俺はすぐにベットから起き上がり保健室を出ようとする。その瞬間だった。
「「きゃ!」」
「おっと!」
俺は同じくベットから起き上がってカーテンの間から出てきた百合カップルの二人とぶつかってしまう。二人は俺にぶつかった衝撃で倒れそうになる。俺はその瞬間とっさに左手でピンクのミカモを。右手で金髪のライハを掴んだ。
「ありがとう」
ミカモが恥ずかしそうにお礼を言った。
「ごめんなさいね」
ライハも少し頬を赤く染めながらそう言った。
「いや。気にするな」
そして俺は百合カップルの間に挟まった。
('Д')
('ω')
(*´Д`)
やった!偶発的とは言え百合カップルの間に挟まった!内心は♪( ◜௰◝و(و "こんな感じだった。だけど名残惜しいがすぐに手を放す。そして俺はすぐに御所に向かった。
緊急御前会議が開かれた。首相は青ざめた顔で俯いている。
「せ、戦争なんて、そんな突然のこと言われましても……」
「だが宣戦布告は事実だ!」
「いったん相手国との会談を設けるべきでは?」
議論は空回りし続けている。俺はそれを聞いてうんざりしていた。
「お前ら。
俺は一言そう発する。すると首相以下重臣たちが一斉に黙って怯えたような顔で俺のことを見る。
「俺たちはすでに奇襲を受けた身。先帝もまた神聖アンドロメダ共和国の陰謀によって御隠れになられたのだろう……」
ただの陰謀論なんだけどね。いっそでっち上げようと思いました。プロパガンダだよ。
「諸君。朕は平和を愛している。そしてまた臣民たちをも愛している」
俺は立ち上がり重臣たちを睥睨する。
「我等は平和を愛していた。だがそれを破り事故の権益の身を求め欲望に身を任せた愚か者たちがいる。我等の敵である。逃げ場などない我ら帝国は平和を愛する。平和のためには邪心を抱く唾棄すべき悪魔のような愚か者どもを排除せねばならぬ」
重臣たちは俺を真剣な目で見詰めている。
「我等は我等を守るためではなく平和を愛するということを守るために剣を手に取らねばならぬ日が来たのだ!我等が愛する者たちよ!剣は両刃だ。きっと我等も傷つけるだろう。だが悪鬼羅刹を葬り去るために振るう覚悟はできているであろうな?」
重臣たちは一斉に立ち上がる。
「我ら臣民。陛下の勅令を待つばかりであります」
「わかった。では朕が勅を下さん!敵を粉砕せよ爆砕せよ!破砕せよ!殲滅せよ!オールハイルミルキーウェイ!」
「「「「「オールハイルミルキーウェイ!オールハイルミルキーウェイ!」」」」」
めんどくさいけど戦争しよう。そうしよう。とりあえずおっさん共はやる気になったのであとは放置プレイでいいや。放置しておけばきっとおっさんたちもつよつよになっているだろう。こうして戦争に幕は落とされたのである。
百合の間に挟まりたい俺が世界の危機に立ち向かうだけのお話 園業公起 @muteki_succubus
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