記憶と幾何学が織りなす花文字の王国
- ★★★ Excellent!!!
めちゃくちゃ面白かったです!!
祖母の遺品であるスケッチブックに描かれた花から「僕」が物語を読み解く、という現実の枠組みと、「僕」が読み解いた王国にまつわる物語、という二重構造になっていて、さらに王国の物語は、数学的なタイリングと文学的な情報圧縮という二つのストーリーが自己相似的に展開されるという入れ子構造になってるんですね。
その中で現実と虚構、記録と記憶、数学と文学といった対になる要素が巧妙に配置されてて、複雑な奥行きと余韻を感じられました。
すごく高度な設計がなされている(自分自身は文学理論や批評などにはからきし疎いのですが、きっとそうでしょう)のですが、語り口が瑞々しく軽妙で、そのおかげでエンターテイメント作品としても魅力的になっていると思います。