クリスマスだねみんな◯ね

雛形 絢尊

第1話

微睡むような夜の中、一歩、一歩。

靴の擦れる音が聞こえる。

また一歩一歩。

静けさが充満するような景色は

影すらも勘ぐれるほど不明瞭な世界だ。

一歩、一歩。そしてまた、一歩、一歩。

舞い散る雪がちらほらと、また一歩、一歩。

物音を立てずにそっと、それを置く。

あなたが私にくれたもの、全部全部、

終わらせましょうよ全部、全部。

枕元には置けないけれど、

私の思いを玄関に置いておいたわ。




ぼくはサンタクロースがいると思います。

ぜったいぜったいいるとおもいます。

いつも欲しいものを選んでくれています。

ともだちはサンタクロースをパパだといいます。

でもぼくはぜったいにいるとおもいます。

ぼくはみたことがあるからです。

でもぼくはおもいました。

たぶんみんなはしらないとおもいます。

サンタクロースはおんなのひとです。

ママではない女の人でした。

ぼくがげんかんの方にいったときに

おんなのひとはむこうでわらっていました。

そしてぼくにいいました。

いまはこっちにおいでって。

ぼくはおんなのひとのいうとおりに

かぎをあけてそとにでました。

でもこわかったのですぐに家に戻りました。

あの女の人は言いました。

私のものを返してほしいって。

僕も返してもらいたいです。

この耳も目も手と足も

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クリスマスだねみんな◯ね 雛形 絢尊 @kensonhina

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