しんどい
蒿雀
見えない
ガシャン
ガラスが割れる音がする。きっと窓ガラスに石が投げられたんだ。
部屋の端っこでうずくまる人間
ばら撒かれた日記や絵本、美しさの一つも感じさせない不協和音が続く壊れたラジオ。
その状況を人の言葉で語るならば地獄絵図である。しかし、このうずくまる人間からしたら毎日のことであり、当たり前の事なのである。部屋が汚れている事実はその人間にとって至極まっとうなことであり、偏った正義感ゆえにそのようなことをしている、ということではない。意地でもどうにもならない状況というものもあるのである。
それは創作活動にも同じことが言える。しかし、人間はソレを改善することは難しい。そう思わされる事象が有り余っているのである。なにゆえそのようなことになるのかの記載は個人的な感想として投げかけられるのに対してソレを受けてどのように動くのかは投げかけはしない。変わらないのである。
ヒソ…ヒソ…
人の話し声がしている。きっと私のことを悪く言っているのだ。
周りからの評論を気にするというのは、果たして心の弱い人間がすることなのだろうか。我々は心強くあれというが、生まれた素質が悪く動けない人間は一体どうしろというのだ。答えはある、しかしソレを見つけて何になるのだ。見つけたところでという話であり、実践して本当に強くなれた人間など一握りに過ぎないのである。
カチャ…カチャ
何かを握るような音と、耳障りな金属音が聞こえる。
人はよく正義感を大きな主語で話すものだ。皆そうだと言えば己の考えがあたかも正確なのように語られるような気がしているのだろうか。否、そうではない。それは人間の同調意識による本能的なもので、無意識的に行われる行為の一環にしかならない。列をなせ、と言われ1人だけがしたところで、他の人間が動かなければ不安になる。同調意識を持たせる教育の悪いところである。
グニ…グニ
肉が切れる弾力がある。五感で感じている。
人は憎悪を感じた時によく成長するとはよく言ったものである。香ばしい話を聞くたびにそのようなことをよく思う。所詮、悲しみなどにうち動かされることはない。無意識に悲しみを怒りにつなげ、人は怒りや憎悪で動く。昔から変わらない習性だが、ソレを怒りと認知できるまでに長い時間をかけるときがある。それも人間である。
さて、私は行かなければ。
薬を飲まなければならない。
散らかった部屋に死肉。
噂話は風のように流れ、
銀のナイフは隠匿される。
本当に恐ろしいのは使う人間である。
しんどい 蒿雀 @Aozi1201
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