いたずらバタフライ

はすみらいと

いたずらバタフライ

「一つだけ願いを叶えてあげる。何だって妖精だからね。」

 そういって妖精は少年にまだ見習いだと告げる。

 どうも妖精曰く、一人前になるには人間の子供の願い事を一つ叶えてあげることをしなければならないらしい。妖精は少年にルタと名のって、腰に手をあてる。

「よろしくルタ、僕はティム。本当に妖精だっていうなら」

 と区切ってティムは半分の疑いをルタ自身に晴らしてもらう方法を考えあぐねる。

「願いは君が一人前になるために他の子の願いを叶えている瞬間を見届けること。そうしないと信じれないわけだし」

 ティムは子供らしいイタズラを企むような顔で笑った。

 妖精ルタは目を丸くした普通の子供ならもっと欲しいものとかなりたいものを叶えろとかいうものだと思っていたつもりだったもんだから肩透かしをくらったような気持ちになった。

「いいかいキミ。一回しか叶えられないんだ、そんなことなんかより欲しいのあるだろ? おもちゃとかゲームとか」


「いやそんなの要らない。だって本物なら友達になってほしい。それだけこれは約束。本物だって証明は願い」

 困ったような顔で少年ティムは笑う。

 まぁどうでもいいやとなげやりにルタは叶えるために小さな女の子に話しかけ願いを聞く。

「あのね、わたしお姫さまになってお城に住んでドレスを着てそれで楽しく暮らすのお菓子とかおいしいごはんを食べて」

 そう少女は言い終わり、ルタは少女の前でくるくる回ると、一瞬光が溢れてたちまち願いどおりになった。

「ありがとうルタ。なんて素敵なお城まるで夢みたい。」

 そう言い終わるが早いか。ルタとティムは出会った公園へと足を運ぶ。

「で、友達になってくれるの?」

 手を差し出し、ルタの答えを待つ。

「約束したからにはもちろん。晴れて一人前さ。」

 少年ティムの差し出した手を握りかえす。

 途端、眼前が眩み。涙を流す。

 そんなのは夢だと祈りたかった。知らなかったんだ。

 僕はどうしようもない悪魔だなんて。

 誰も教えてくれなかった、すべて。友達の作り方も。

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