帰還

3日後

致死率90%のウイルスである伊呂母は、かかった人間の多くは基本かかってから2日で死ぬと言われている。だが、翔は例外だった。なんと、翔は伊呂母にかかってから3日がたっても死ななかった。とはいえ、まだ危険であるのには変わらない。体調もいまだ優れないため、油断は禁物だ。

「ちょっと買い出しに行ってくるな。お前1人でも大丈夫か?」

「はい…」

翔は力無くそう言った。

「分かった。じゃあ行ってくるな。」

翔が伊呂母にかかってからは徳次郎がずっと看病してるため、徳次郎も疲れた様子だった。少しして翔が1人になると、ガタガタという何人かの人が歩く音が聞こえた。すると、襖が開き、何人かの未来の服を着た人が入ってきた。そして、こう言った。

「大丈夫ですか?航時鉄道救助隊のものです。」

翔は驚いた。そして、喜んだ。救助隊が来たということは助かったということだ。

「はい…大丈夫です…」

翔は力無いものの少し嬉しそうな声でそう言った。

「今からこの長屋の前にある救助用航時鉄道に運びます。もうすぐ楽になるので頑張ってください。」

そう言って救助隊の人たちは翔を空中に浮いた担架に乗せて、狭い長屋を通りおもてにある救助用航時鉄道に乗せた。航時鉄道は、航時鉄道の存在を知ってる人しか見ることや触ることができないので、堂々と道の真ん中に列車があっても江戸時代の人たちにはバレないのだ。そして、列車に乗ろうとしてる人も見えないのだ。全員が列車に乗り込むと、列車はすぐ出発した。そして、出発すると列車はすぐ時空線に入った。翔は列車の中で薬を飲まされた。すると、みるみるうちに肌が、灰色から肌色に変わっていった。そして、翔が感じた吐き気や気持ち悪さはどんどん無くなくなっていった。少しすると、列車が急に揺れだした。時空線は定期的に手入れをしないといけないのだが、1774年に繋がっている時空線はほとんど手入れされていないため、時空線の空間が不安定になっており、嵐が発生するのだ。さらに、線路もボロボロなうえ、しばらく不安定な時空線にとどまると危険なためボロボロな線路を高速で通らなくてはいけないのだ。列車はちょうど嵐が発生している中ボロボロな線路を高速で通過しているところだった。列車の揺れはどんどん大きくなり、いつ脱線してもおかしくないくらいだった。少しすると、列車は手入れがされている区間に入った。列車は奇跡的に脱線せずに済んだ。

3時間半後

列車は2345年にある東京駅に着いた。久しぶりに見る街の光景に、翔は帰ってきたという喜びと江戸時代にいたかったという残念な気持ちがぶつかり合って、複雑な気持ちになっていた。だが、一番気になったのは徳次郎の事だ。徳次郎がいなくなったあとそのまま未来に行ってしまったため、心配してるんじゃないかと翔は思った。だが、とりあえず未来に帰ってこられたことを翔は喜んだ。


終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

航時鉄道 こどくのマスター @kodoku137928

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ