1 学校とは思えない場所

アナタは“灯火”に連れられ、

1つ目の空間へ足を踏み入れた。


「貴方の手がかりは

正直なところ、この空間では

1つもあると思えないんです。」




階段を下り、廊下を渡る。

アナタが足元から目の前に視界を移すと

そこは


そこには、桜が咲き乱れる中庭だった。

だが、瞬きをした間に枯れ木となっており

根元には人が佇んでいた。


「……珍しい、“灯火”。

あなたが今日ここに足を運ぶなんて、

僕は思いもしなかったよ。」


「私でも未だに見分けがつかないのだが

今日は“管理者”かな?それとも“管理人”?」


「生憎、今日は気分が乗らなくってね。

“灯火”の横にいるお嬢さん

初めましてだね、僕は“管理人”。

ここの学校的空間を保つ役割を担ってます。

是非ともよろしくね。」


彼はそう言って、アナタに握手を求めてきた。

反射的にアナタは“管理人”の手を握り返す。

その時、彼は何か思ったのか


「何となく、聞いてきた理由がわかったよ。

君が僕と“管理者”の

区別がつかない訳ないからね。」


その時、風がはしり

アナタは目を瞑った。




気がつくと、屋上に見える場所へ来ていた。

先程とは違って

とても現実的ではない光景。

桃と水色が混じった空には雲一つなく、

桜吹雪が乱れ

そこら中、自由に本が浮かんでいる。


「ようこそ、この空間へ。

“管理者”の僕が歓迎するよ、お嬢さん。」

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虚像の自分達へ 虚像さん @k_zyo3

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