なくなった壁
絵里香さんと僕を乗せて、再び透は自転車を漕いだ。
三人で夜の病院から、下の街まで続く広い道の歩道側を風に飛び込んでいくように自転車で走っていく。
映画を見た日、絵里香さんが言ってくれた言葉を思い出した。
『キャラだって生きてるのに!』
絵里香さんだけではなく、そう思ってくれている人がどれだけいるか分からないけれど、たとえ少数であっても、二次元のキャラクターはそう思ってくれている人がいるだけで、どれだけ勇気付けられることだろう。
もう、僕と絵里香さんとの間には次元の壁はない。
映画『ディメンション・サーガ』で僕は死んでしまったけれど、一つ上のディメンション、三次元で絵里香さんや透と過ごす未来が待っていた。
(了)
フィクトな僕は次元を越えたい 智原 夏 @kansyon
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