ハーレムするために異世界転生したら、ヒロインが合体した

遥 述ベル

第1話 合体するヒロイン

 俺は学台志多依がったいしたい

 異世界転生した。

 手当り次第トラックに衝突してようやくここまでやってきた。まさか自分の体がこんなに丈夫だったとはな。


 そして俺が転生して一年の歳月が経った。

 今の俺には二人のヒロインがいる。

 まずはヒイ。

 彼女は魔法使いだ。

 炎属性の魔法を得意としている。

 遠距離攻撃ができるので大変貴重な戦力だ。

 その炎と同じような真っ赤な髪はいつも束ねられており、サラサラに保たれている。


 16歳の彼女は俺と同い年でとても気が合う仲だ。胸が小さいのをコンプレックスにしているが、俺はそういうのは気にしていない。

 俺はヒイのビビりなところやビビりの癖に俺がピンチな時はファイアーボールを手に持って魔物に突っ込んだりする勇敢さに惚れたのだ。


 俺は半年前からヒイと付き合っている。俺から告白して快諾してくれた。今は俺の腕に抱きついている。


「ヒイ、暑いんだけど。今夏だぞ」

「いいじゃん。あたしの志多依なんだから」

「俺は所有物なの?」

「不満?」

「ご褒美です」

 俺は既に尻に敷かれている。でも俺にはそれが心地よかった。


「そんなにイチャイチャされると私が居づらいんだけどー」

 頬を膨らませて怒ったような声を出すもう一人のヒロインはロンだ。

 彼女は聖女で回復担当だ。俺たちより二つ年上。清楚な黒髪ロングに花飾りをつけている。ただ、清楚なのは見た目だけで、かなり短気だったりする。


 彼女は教会で素行不良だったので追い出されていた。そして路頭に迷っていたところに俺たちが声を掛けたのがパーティー参加のきっかけだった。第一印象はおっとりとしていたが、その内化けの皮が剥がれていった。

 とはいえ彼女は文句を言いつつも俺たちのことを見守ってくれるので良い奴だ。

 素行不良とは言っても、教会は非常に礼儀を重んじるので、彼女が俺たちパーティーと過ごす上で和を乱すことはない。彼女に適した居場所が教会じゃなかったというだけの話だ。


「あんたら見てるだけで暑いわよ」

「炎でもっと暑くしようか?」

「やめてよ。神から天罰が下るわよ」

「素行不良で教会追い出された人が言ってもねぇ」

「余計なこと言うな」


「ほらほら、ロンも!」

「ちょっ!?」

 ヒイがロンを引き寄せる。ロンの胸が俺の背中にアタックする。ヒイと違って豊満だった。


「当たっちゃったじゃない。この野郎」

「そんなの気にしなくて大丈夫だよ。志多依はあたしに夢中なんだから」


「私だって……(志多依が好きなのに)」

「私だって、何?」

「な、なんでもないわよ」


 ここで俺が異世界転生した理由を話そう。それはハーレムがしたかったからだ。異世界だとそういうの融通が効くと思ってね。

 そして、俺は今がチャンスだと思った。


「ロン、俺から言いたいことがある」

「な、なによ急に」


「俺はお前が好きだ!」

「はぁ!?」


「ロンの気持ちを聞かせて欲しい」

「はぁ、う、えっとお……」


 ロンは顔を真っ赤にして後ずさりしている。それを引き止めたのはヒイだった。


「ロン。正直に答えな」

 ヒイも俺のこの気持ちを否定する気はないようだった。この世界の倫理観を知らないけど、ハーレムへの拒否感はあまりないようだ。


「わ、私も、す、き」


「「合体!!」」

 ロンが返事し終わった瞬間、ヒイとロンは手を組み掲げ、光に包まれる。


「な、なんだこれはああああああああ」

「学台志多依が好きなヒイ!」

「学台志多依が好きなロン!」

「「あたし(私)たち、学台志多依が好きなヒイとロンはここでひとつに!」」

 声だけが光の柱から聞こえる。俺には何が起きてるかさっぱりだ。


「「ああああああああああああああああ」」


 合体シーンは長いので省略。

「省略!? え? 気になるんですけど!??」


「あたしは志多依がすきいいいいいいいいいいいいいい」

「私も志多依がすきいいいいいいいいいいいいいい」

「「合体しても愛してね!!」」


 光が縮小していく。


「志多依お待たせ」

 そこには黒髪に赤いメッシュの入った知らない少女が立っていた。胸は二人の中間くらいの大きさになっていた。


「ヒロイン!」

「どうかな?かわいい?」

「可愛いよ! 二倍可愛くなった!」

「良かった。これからはヒロインとしてよろしくね」

「これ今どういう状況なの?」

「合体したの」

「そんなこと言ってたね」

「二人でひとつよ」


「ハーレムできないの?」

「そんなの無理よ。知らないの? 好きな人が同じもの同士は合体するのが常識じゃん」

 あれ、俺の知らない世界だ。


「性格はどうなったの?」

「分からない。これから分かっていくと思う」

 俺はこの謎の多い合体に戸惑ったが、可愛いのでおっけー!


「それじゃあ合体の挨拶に行こう!」

 俺たちは二人のご両親に挨拶しに行くことになった。


 俺はこの時知らない。彼女たちに次の形態があることを──。




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ハーレムするために異世界転生したら、ヒロインが合体した 遥 述ベル @haruka_noberunovel

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