転生したら現代の少しコミュ障気味の少女のぬいぐるみになった件

藍無

第1話 ぬいぐるみっ!?

目の前の鏡の前にいるのは今世の自分の姿。

認めたくない現実。

僕、うさぎのぬいぐるみ、、、になっちゃった___?

動けないんだけど。

どうしよう。

トラックにひかれて死んで、あこがれの異世界転生できるかと思いきや、現代の少女の持っているぬいぐるみになっちゃった。

「うさちゃん。」

少女がそう言って、僕に抱き着いてきた。

くっ、うれしい。

胸がっ、あたってる。

やわらかい。

「うさちゃん、好き。」

少女は、僕の耳元でそう言った。

僕も好きでございます。

その小さい声が耳をもぞもぞさせる。(動かないけど)

くうっ、動けないのがこんなにも悲しいなんて。

もっと強く抱きしめてほしい。

「うさちゃん、今日も、学校、えっと、行ってくる、ね。」

少女は、僕を離して、床に置くとそう言った。

うう、もう離しちゃうんだ。

今日もいい匂いだったな。

えへ。

好きですっ、って言いたい。

前世では一回も女の子に抱き着かれることなんてなかったからなー。

うさちゃんこと僕が気づいていないだけで本当は僕のこと好きだった人いたかもしれないけど。まあ、ありえないよな。

少女は、支度をし終わったのか、僕の頭を撫でて、

「行ってきます。」

と言い、家から出て行った。

くっ、かわいすぎる。

好きです。

『こんにちは。』

鏡の中から猫がでてきた。

えっと、誰でしょうか?

『私は鏡から出てきたけど一応天使。』

へえ、天使って鏡から出てくるものなのか?

っていうか心が読めるのすごいな。

『あなたの前に出てくるにはこうするしかなかった。ほめてくれてありがとう。』

そうなんだ。

で、何のようなのだろうか?

『君、ちょっとかわいそうだからいいこと教えてあげるよ。』

なんだろう。

『君、前世で高嶺の花みたいな感じで周りから見られていたみたいだよ。』

高嶺の花!?

僕が!?

『正直言って、君の前世、かわいい系の見た目でちょっと私的にもタイプだった。』

何それ。

教えてくれた理由もしかしてそれ?

高嶺の花だったから、もてなかった、と勘違いしちゃってた?

『まあそんなかんじ。良かったね。このことが知れて。』

知ったところで元の体に戻れないんですけどね。

『まあそれはそうだね。』

しゃべれないのって、何とかならないのかな。

『しゃべれないのは、ぬいぐるみだから仕方ない。。』

せめて、動けるようになりたいんだけど。

『そうだねー、、君、少し可哀想だし、良いよ。動かしてあげよう。』

天使はそう言って、僕の額に指をあてて、何やら呪文のようなものを唱えた。

『動いてみて?』

うごこうとしてみる。

手が、うごいた。

つづいて、ぴくぴくと長いうさぎの耳も動いた。

『ふふっ、動いたみたいだね。これは私からのちょっとしたサービスだよ。』

天使はそう言った。

正直言って天使様尊い。。

かわいい。

まあ、僕の持ち主の少女が一番かわいいけど。

『じゃあ、またね。』

そう言って、天使さんは鏡の中に消えていった。

うれしすぎる。

動けるのはマジでうれしい。

僕の持ち主が帰ってきたら、動いて驚かせてあげよう。

僕はそう思い、持ち主が帰ってくるのを楽しみに待ったのであった。

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