第3話

工藤祐貴は、二番手の座に甘んじることを決して許さなかった。彼の中で渦巻く自己愛は、常に称賛を独占することを求めていた。起業家の彼女がいなければ、自分がその栄光を手にできるーーそう確信した祐貴は、彼女に対して次第に無理難題を押し付けるようになった。

「これもできないのか?君には失望したよ」彼の冷たい言葉は、彼女の心に深い傷を刻んでいった。それでも彼女は、事業の成功のためにと必死に応えようとした。しかし、祐貴の要求はエスカレートし続け、ついには暴力という手段にまで及んだ。20代前半に結婚相手を殴った時と同じように、彼は暴力で彼女を支配し、金と会社を手中に収めようと企んだのだ。

そんな中、祐貴は新たな駒として高城遥香という女を見つけた。彼女は従順で、祐貴の指示に忠実に従う性質を持っていた。祐貴は彼女を手下として利用し、もし起業家の彼女が何かに気付き反撃してきたとしても、自分と遥香で多数派を形成し、彼女を圧倒できると考えたのだ。

「遥香、次はこれをやってくれ」祐貴の指示に、遥香は何の疑問も抱かずに従った。彼女もまた、祐貴に依存し、彼の承認を求めていたのだ。こうして、祐貴は二人の女性を巧みに操り、自らの野望を実現しようとしていた。


しかし、彼の計画は徐々に綻びを見せ始める。

起業家の彼女は、祐貴の真の姿に気付き始めていたのだ。そして、遥香もまた、自分が利用されていることに薄々感づいていた。祐貴の支配は、もはや完全ではなくなっていた。

果たして、彼の野望は成就するのか。それとも、彼自身が築いた罠に陥るのか。鏡の中の男は、次第にその本性を露わにしていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自己愛の暴力 傷射ねる @eppepp

現在ギフトを贈ることはできません

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画