心臓が見つからない

おまけ

おれ(鈴之助)

大学生。短髪色黒長身。前期の試験がきつかったため、陸上部の先輩たちのアドバイスに従い後期は出席率重視・試験はなくレポート提出の授業を中心に組んだら、一月末までにレポートを十本提出することになった。どうしてこんなことになったのか。いっそ殺してくれ。

生首

首から上の部分。黒髪長髪。喫煙飲酒はたしなむ程度。パチスロは趣味。

シャンプーインリンスで洗われて今日一番の悲鳴を上げた。一人暮らしの大学生男子の風呂場にトリートメントがあるはずもない。

翌朝昼前に起きたらお気に入りのヴィンテージデニムが無造作に洗濯機で洗われていてもう一回悲鳴を上げた。服に興味がない大学生男子に古着への配慮があるはずもない。

胸

首から腰までの部分。

穴にはまって絶望した上半身は気づいた。穴の前後で身体を切り離せば無事に脱出できるのでは？ 天才～！ 這って移動する途中で首を落としてしまった。前見えねぇウケる。道の真ん中危ねぇし寒いしあっなんかここやらけえ。寝れそう。眠いわ。寝るわ。

足

腰から下の部分。腰から上に置いていかれたかわいそうな壁尻。

今回の件で冷えに冷えたので足だけでゆっくり足湯に浸かりたい。腰から上の部分を憎んでいる。鈴之助には恩義を感じている。陸上、まずはジョギングからでもはじめてみようかな……。

家

このあと前を通ったら玄関の扉のほうに「入居者募集中」の看板を見つけた。

そういうのは門の前に貼るもんだろ、とおれは思った。あと穴はふさいどいてほしい。はまるやつがいるので。