『むしょくせいかつ』

失意のうちに目覚めた主人公は、鏡に映る自分の姿が消えたことに気づき、自らが透明人間になったことを知る。
透明になった理由もわからず、五日間ただ天井を見上げる日々を送っていたが、やがて外に出る決意をする。
過去、作家を目指して努力を重ねながらも結果を得られず、自信を失った主人公。
透明という異質な存在となった彼の中で、新たに目覚める感情と執着。
果たして、この不可解な状況は主人公の内面をどのように変え、そして、この“透明な現実”の中で彼は何を見つけ出すのか――。

日常からの逸脱と自己喪失が絡み合う奇妙な物語が、主人公の再生と解放の行方を描き出す。