なんでもない
あまり変わったことはなく仲は良い。
金曜、午前。君がバンドのライブに行くと言ってきた。僕も行こうか迷っていたライブだった。
君は1人だから寂しいと言う。
僕はすぐ行くことを決めた。
君に会える。
それだけでいい。別に今日のライブに好きなバンドは1組だけだし、お金はないけど親に頼んで借りたからどうにでもなった。ただ君に会いたかった。
整った顔立ち、綺麗な髪、僕より15センチほど低い背丈。
君だ。会えた。
特に前会った日から日は経っていないのに気分が高揚していた。
喋りながら歩く。適当な性格の君は相変わらず僕の話をあまり聞かない。
ライブが終わった。一緒に僕の家まで帰るらしい。
そして今、僕のベッドで隣に君がいて、反対側を向いて寝ている。何もしていない。談笑して、疲れたからと言って君が寝た。それだけ。
まだメイクも落としていないのに寝るなんて相当疲れていたのだろう。後で起こしてと言われたが寝顔が見たいからまだもう少しだけこのままにしておく。
君はもう僕がいなくてもいいみたいで、それは適当な性格をしているから適当に言っているのかなとか、僕は都合のいいように考えている。
いつまで経っても馬鹿なまま。少しくらい期待させてくれよ。
僕一人だけがこんなに考えて、悩んで。本当に馬鹿だ。
目を閉じたら今日が終わってしまう。ずっとこのままがいい。朝は来なくて、冬が終わらなくて、「寒いね」って手を握る。そんな季節。
明日、全て良くなったらいいのにって毎日思う。
現実は見たくない。子供のままでいさせてほしい。
冬は寂しいから。
12月 かにかま @iooon
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