12月
かにかま
君がいない夜は
また1人になった。
「友達に戻ろうよ」
深夜、僕のベッドの上で彼女は言った。
1度別れ、復縁してから2度目の別れだった。
別れ話が一区切り着いたのでドライブでもしながらいろいろ話そうかと言い車を走らせる。
あの時面白かったとか、あのカフェよかったなとか。そんなことばっかり話していて気づけば3時間も運転していた。
誰もいないコンビニの駐車場に車を停めて、1度だけハグをした。
君は泣いていた。
相変わらず綺麗な目をしている。泣いているのは開放感か寂しさかわからなかったが、後者だったら嬉しい。
クリスマス前に別れるとかそういうのはどうでもよかった。ただ君の特別になることはないのだと思うと頭がパンクしそうになった。タバコを吸う手が止まらない。
家に帰ったら全部終わってしまうのだと思ったから人はいないのにスピードを上げなかった。
結局朝は願ってもないのに来るし、君は電車に乗って帰ってしまう。僕は寂しくなって泣いてしまった。女々しいのが嫌いな君はもう怒ってこないのだろう。
ふと、とある曲を思い出した。
「君がいない夜って何してたんだろうな」
普段、歌詞に共感などあまりなかったはずなのに。君の好きな曲。僕が好きな曲。
もう何をしてたかなんて全部忘れてしまった。
「愛してる」って言いそびれたな。いつか大事な時に言おうと思っていた言葉。
もう戻ってこないはずの君を僕は待っている。
だからまた今度に取っておくことにした。
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