M-1のトップバッター不利問題の解決策について

加賀倉 創作【書く精】

M-1のトップバッター不利問題の解決策

——M-1グランプリ。


 この、漫才ナンバーワンを決める祭典において、トップバッターは不利である。


 日の本において、何度こすられてきたかわからない文言であるが……


 確かに、そうであるように思う。


 数字の上では、過去十九回開催されたうちの二組、二〇〇一年の"中川家"と二〇二三年の"令和ロマン"が、トップバッターを務めて優勝しており、例年十組がファイナリストとして審査員から採点を受けることを考えると、至極妥当な確率であるように見える。


 が、それは"中川家"と"令和ロマン"の類稀なる実力による外れ値的結果イレギュラーの可能性があるため、今回注目したいのは……


 「採点の仕組み」である。


 M-1グランプリのファンの間では、「トップバッターの点数は、高く出にくい」という共通認識があるが、なら一体どう不利なのか、具体的な例を示してみようと思う。


 前提として、審査員は七人で、各審査員の持ち点は100点、つまり満点は100点×7人で700点とする。


 まず、ごく単純な感覚として、トップバッターに、百点満点をつける審査員は、なかなかいないだろう。


 もし、トップバッターに百点満点をつけてしまったら、後に控える九組もの漫才師からトップバッターを超える組が出てきた場合、100点より上の点数は、システム上、つけられない(俗に言う、『トップバッターは基準になる理論』に近いかもしれない)。

 

 これは言い換えると、「トップバッターの満点は実質、99点×7人の693点になってしまっている」とも言えよう。


 では、トップバッターにはボーナスとして7点加点すれば、あるいは他のファイナリストの点数から7点引けば、解決するのかというと、そういうわけでもないないだろう。


 で、ここでようやく……


 私の思いついた、解決案の出番である。


 まず、ファイナリスト10組の〈並び〉をあらかじめ決めておく。ちなみにこの「並び」というのは、線上での「順番」のことを指すのではなく、円上でのただの「配置」のようなものである(後々、意味が伝わるはず)。


 次に、審査員についてだが、これをファイナリストの組数と同じ7人×10組の計70人用意する。


 そして、会場についてだが、10ヶ所用意し、それらは目と鼻の先に位置し、かつ、いずれの会場間でも連絡は一切取れないものとする。各会場には、特定の7人の審査員が配置される。

 

 最後に、お察しかもしれないが……


 ファイナリストたちは、10ヶ所の会場を巡業し、それぞれの会場で別個に審査される、のを10回経験する、というわけだ。


 こうすれば、ファイナリストは、トップバッターで披露する場合、二番手で披露する場合、三番手で披露する場合、四番手で披露する場合、五番手で披露する場合、六番手で披露する場合、七番手で披露する場合、八番手で披露する場合、九番手で披露する場合、トリで披露する場合の、以上全10通りで漫才をすることとなり、披露順によって生じる格差は限りなく極小化できるように思う。


 (〈並び〉という表現をしたのは、つまりそういうことである)


 ちなみに点数については、どの回も審査員一人につき100点の持ち点という条件は固定、10会場での合計点をさらに合計して、これを10漫才師×10披露全てが終了した後に、10組間で競わせる。


 漫才師たちのスタミナの問題が(非常に大いにとてつもなく)あるかもしれないが、たとえ巡業の後半に大バテして舌カミカミ、汗ダクダクだったとしても、どの組も条件は同じで、キツいラスト一本があるのには変わらないので、問題にはならないはずである(尺の問題など、もっと別の問題はあるかもしれないが一旦無視させていただく)。


 ちなみにテレビ放映をどうするかの問題については、無責任ながら、一切考えていないので、どなたか案がございましたら、コメントからよろしくお願いします(他力本願)。




 最後に……


 私の好きなM-1ファイナリストは、笑い飯、ハライチ、トム・ブラウンです。


 鳥人のやーつ、つ〜ば〜めぇよ〜🐧(訳:トム・ブラウンがんばれ)

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