第12話 搾取の癒やし。―②

 自分の心の奥深くに、傷だらけの小さな女の子が、泣きながらうずくまってる。女の子は時々、自分のゲームをチラ、チラって感じで見る。

 ―――これをやってもいいの?怒られないの?

 って感情が、自分に伝わってくる。

 なんだろうこのイメージと思ったけど、直ぐに気付いた。これは私の中の子ども、子どもだった頃の私、これ以上傷つくと生きていられないから、子どものまま、本心のまま、時間を止めた私だ、って。この「子どもの私」の傷を治したら、自分の心身の不調も治るんだ。自律神経失調症や胃潰瘍、広場恐怖はこの子の傷だ。治して欲しくて、この子は私に傷を訴えてきたんだ。

 ―――やっていいんだよ。誰も怒らないよ。

 ―――怒ってくる女帝がいたら、お姉ちゃんがぶっ飛ばす!

 そんな物騒なレスポンスを返していると、胃がキリキリ痛くなってきた。ギリギリ、絞られるみたいに痛い。胃潰瘍の発作はとうに収まっていたし、いつもの発作となんか違う。胃薬の服薬もしているので、心因性の痛みの可能性が高い。これは私の中の女帝―――女帝が私にかけた暗示だ、と思った。

『ゲームなんて下らんものするな!勉強しろ!』

『勉強しろ勉強しろ勉強しろ勉強しろ勉強しろ』

『ゲームするなゲームするなゲームするなゲームするな』

 なんでそう思ったか分からんが、この胃痛をガン無視してゲームが出来たら、女帝の呪いは自分から消える、とも。

 今思えば無鉄砲極まりないんだが、胃痛をガン無視してゲームをやっていた。子どもの私に、大丈夫、大丈夫だよと言い聞かせながら。―――悪い人は直ぐいなくなるからね。


 本当、いなくなった。

 翌日も翌々日もゲームしたけど、あのギリギリする胃痛は影も形もなかった。子どもの私は時々出てきたが、いつの間にか出てこなくなった。

 たまに出てきても良いんだがなあ。ゲームもぬいぐるみも漫画もあるよ。

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ウチには絶対神と女帝がいました。 うさぎは誇り高き戦闘民族 @darkness-usagi

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