このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(137文字)
一人の人間が巻き起こす破滅的事象を、身近な立場の作者様が客観と感情の両面から多角的に捉えた秀作。友としての情、人間的な愛おしさを根底に据えながらも、虚栄、誤った努力、矛盾、視野狭窄、そして自己愛を鋭く見つめ看破した内容にため息が出ました。あくまで人間というものにフォーカスされた作品ですが、誰にでも起こり得るシュチュエーションという点で、暗黙の成果主義が蔓延る社会の「病み」にまで思いが漂流していくような心地です。鋭くも情に満ちたメッセージ。一読ください。