妖精は夢を見ない

神樹ユグドラシルを中央に据えた、北の妖精と南の人間が争い合う、エリンの土地。この土地には忌々しい掟がある。それは100年に一度、人間の花嫁を妖精王へ嫁がせるという和平の掟。黒髪に夢見人の目をした18歳のミケラは平凡な貴族の娘であり、今年の”妖精王の花嫁”。婚姻の日まで残り数日、ミケラはこの頃同じ悪夢を繰り返し見ていた。それは、自分が銀髪の美しい男の心臓をナイフで突き刺す…というひどい悲しみを伴った悪夢。
運命のいたずらか、奇しくも婚姻の日ミケラを迎えにやってきたのは……ミケラの悪夢に現れる銀髪の男——妖精王のルシアン——だった。
ルシアンとの関わりの中、少しずつ幸せな結婚生活を望み始めるミケラだったが、悪夢、花嫁の暗殺、邪悪な古代の神々の存在など、結婚生活を脅かす強力な勢力に翻弄されていく。…続きを読む