昼休み開始 予鈴まであと10分 屋上

第3話 『ハナ、タクマが接近!』 タクマ視点

【やばいな。】

 

 とタクマは思った。


(やつ、もう迫ってきてやがる)


 階段を駆け上がると、夏の屋上にたどり着いた。鍵が開かない。

 下からハナの声が迫ってくる。


「タクマー? いるんでしょ!? 早く出てこい!」


 ヒエー。こんな時に限って弱いやつや、俺〜!

 タクマはそんなことを思いながら、ドアを思い切り押した。

 偶然、ドアが壊れて、ドアがスライド。


「……!」


 屋上はとても入り組んでいて、中にはケモノ道くらい狭い通路がある。なるべくそれは使いたくないが、こっちの不利は向こうも不利だ。うまく隠れて、また校舎に戻ろう。


 タクマは、まず、屋上の入り口のドアの後ろに周った。そこにはシェルター。

 タクマはシェルターの中で、うずくまって隠れた。

 すぐに、ハナの足音。ハナの声。


「あんた、屋上にいるの、知ってんだかんね!」


 涙声だ。これはまずいぞ。タクマはますます顔を伏せた。

 俯くしかなかった。だが、ここで みすみす「ここでした〜!」と叫ぶわけにはいかず……


 タクマは耐えた。

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あいつを探せ! 学園大捜索指令 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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