第2話 タクマ陣営。

 男子トイレの小便器の一つには、

 いま、そのが動いて、超低空浮遊を繰り返している男子用小便器の前に立った。その影が姿を現した。


——身長百五十九cm 本作のもう一人の主人公、タクマだ。


 タクマは小便器の前に立った。男子トイレからタクマは丸見えだ。昼休みがおわり、予鈴よれいが鳴れば、流石に別の教室に移動しないといけない。張り込まれるだろう。

 

——それに。


 それに、ハナはきっと手下をたずさえているだろう。彼らにズカズカと男子トイレに入ってこられたらオシマイだ。

 そう考えるとこの場所は非常に袋小路——追い込まれる可能性が高い。

 悔しいが、この学校のどこにも安全地帯はないようだ。

 

 カツカツカツと足音が聞こえた。しばらくは小便器の陰に隠れていよう。


            

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