灰褐色の悪魔2

 「あ!おっ帰り〜!どうだった?」


 「うむ。マザーヘカリーという者と会った」


 「あれ?レナ?元気ないね〜?どうしたの?」


 「う、うん・・・ちょっとね・・・」


 「レナはこれから調べる事があるから人間に戻る。アイルーは我と話そうか」


 「了解〜!」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「え!?じゃあ、そのマザーヘカリーは諦めたの!?リアクもそのまま帰ったの!?」


 「うむ。どうする事もできなかった」


 「リアクがそう言うなら私は何もできないじゃん!」


 「お待たせ」


 「あ!レナ!どうだった?今聞いたんだけど、灰褐色の悪魔っていうだよね?」


 「う、うん・・・簡単に言えば鳥だね。アリスイって名前で蟻の天敵らしい。主に森林、林縁、草原、湿地、農耕地、川原に生息し、冬は暖かい所に行くみたいだけど今は温暖化で木の中・・・樹洞で越冬するのも多いみたい。舌を伸ばして蟻を・・・私達を食べるみたい・・・」


 「そっか。リアクもレナも居るから大丈夫だよね!?それに・・・見て!見て!卵産まれたんだ!」


 「おぉ〜!最初の子供か!」


 「うん!これから頑張って子供増やすから私は動けなくなるけどいいかな!?」


 「大丈夫だ!アイルーは脱皮するまで、子供の面倒を頼む!レナ!少し歩こう!アイルー?暫くは人間の食べ物を食べなさい!少し太るくらいに栄養を摂取すると良い!より強い子が産めるはずだ!」


 「ありがとう!レナ?考え過ぎはダメだよ?何かあったら私に話してね?」


 「ありがとう・・・」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「レナよ。我はレナの考えている事が分かる。違う種族へ変わってもその優しさはレナ本来のものだ。だが、我も皆を助ける事は不可能だ。そこは分かってくれ。これより30ナーグ・・・すまん。30分歩いた所にも同胞の巣があるようだ。そこへも挨拶に行こう。それで今日の活動はおしまいだ」


 「分かった・・・こういう感情は初めてだから・・・人間の時は戦って死ぬなんて事がなくて・・・」


 「我が居た世界ではよくあった。慣れるものではないが、慣れろというしかない。もしくは・・・」


 「もしくは?」


 「何でもない。とりあえず先のヘカリーの所と同じにする」



 「止まれ。何用か?」


 「少し西に向かった所に新たに巣を作った新女王アイルーの遣いの者だ。挨拶にやってきた」


 「(クリクリ)ちょ、ちょっと・・・くすぐったい!」


 「ふん。確かに新女王のようだな。臭いが少ない。偵察なら食ってやってたのだがな。入れ」


 う〜む。ここはまだコロニーというまでは育っていないか。第二世代くらいの規模だな。という事は、マザーも比較的若い部類か。


 「おじさん?ここは働き蟻が多いね」


 「そうだな。入口に枯れ葉が多くあっただろう?多分夜は入口を塞ぐのだろう。それをすれば敵襲も少なくなると見る」


 「ここだ。分析するのは構わないが襲ってくれば俺達マザーリーラファミリーは全員が兵隊となると覚えておけ。この先がマザーが座す部屋だ」


 「ごきげんよう。若い雄君と若い雌ちゃん」


 「リアクとレナと申す。これより西へ向かった所に新しく巣を作った。挨拶に来ました」


 「そう。それで?」


 「それでとは?」


 「挨拶に来て同盟でもしてくれって言うの?それとも食べ物が狩れないから譲ってくれってつもり?」


 「いや、ただの挨拶だ。食べ物なら自分達でどうにかできている。これを。人間の幼生が持つ飴玉だ」


 「何これ?初めて見るわね?甘い感じがするけど?」


 「初めてですか?」


 「私は人間の近くで産まれたわけじゃないからね。人間の事はあまり知らないの。ホームは小さな巣でね。マザーは優しかったけど、そのせいでホームは無くなったの。だから私はマザーのように優しくはならない。馴れ合いはしないって決めているの。リララ。来なさい」


 「はっ!マザー」


 「この子は私の子で1番物覚えが良くてね。この飴玉?という物は頂くわ。けど貸し借りは嫌いなの。今朝取れた私の家に攻め込んで来た蜘蛛よ。まだ肉も柔らかいし、体液も固まっていないから貴方達からすればご馳走様でしょう」


 「分かった。邪魔をした」


 「ちょっと待ってよ!その言い方はあんまりじゃない!?別に何かしに来た訳でもないのに・・・(シャキンッ)」


 「ふふふ。威勢の良い子は嫌いじゃないわよ?私はまだ若い部類だけど、修羅場はそれなりに潜ってきてるのよ。人間に隠れて人間の物ばかり食べている子達とは違うのよ」


 「ヒィー!」


 「うん?貴方、外骨格がやけにゴツいわね?余程、安全な所で育ったようね。まっ、いいわ。昔マザーから聞いた事あってね?人間の食べ物は栄養が高いってね。今の話し方はこの飴玉で無しにしてあげるわ。以後気を付けなさい」


 「レナ。帰ろう。確かに我も貸し借りは嫌いだ。一応忠告しておいてやる。これよりもっと・・・我の居る巣より更に西のコロニーが灰褐色の鳥に壊滅させられた。聞いているか?」


 「ヘカリーの婆さんの所を言ってるの?」


 「あぁ。そのマザーヘカリーのコロニーだ」


 「ふふふ。確か最初の襲撃で3割の仲間が喰われたから救援を求められたわね。あんな大っ広気に木の下にコロニーなんて作るからよ。自業自得」


 「・・・・・・」


 「何よ?そこの雌。その目は文句があるわけ?そもそも私の可愛い子達も死ぬかもしれない戦争に出すわけないじゃない。コロニーって言ったってコロニーと言えるくらいの家に近いコロニーでしょ?ヘカリー婆さんの所は。しかも戦い方も古い。確かに鳥は厄介。けど戦い方によってはそうでもないのよね」


 「と、いうのは?」


 「これ以上は軍事機密よ。まっ、精々頑張りなさい。若い兵士君。若い雌ちゃん」


 

 「あのう・・・」


 「リララか。見送りは良いぞ」


 「いえ・・・マザーは口調はあぁですが、他所の巣やコロニーを襲う事はありません!この私のホームの事だけを考えているのです!ですので悪く思わないでください!」


 「いや問題ない。それが普通なのだ。それにリララを見ていると其方のマザーの育て方は間違ってはいないという事が分かる」


 「ありがとうございます。周辺の同胞全てに挨拶を?」


 「今日はこれで終わりだが、近い内に回るつもりではある」


 「そうですか。北にあるコロニーは戦闘好きが多いのでお気を付けください。寧ろ貴方方のファミリーが大きくなるまで無視しておく方が良いかと思います」


 「忠告感謝する」


 「ねぇ?リララちゃん?」


 「はい」


 「さっきの鳥に勝つ方法なんだけど私達で勝てるの?」


 「・・・・・・」


 「レナ。踏み込み過ぎだ」


 「全ては言えませんが、私達は見回り隊、偵察隊、襲撃隊、働き隊、世話隊と他にも細々と分けていますが、全ての兄弟、姉妹共に兵隊訓練は受けています。つまりは全員が兵隊にもなれるのです。私達1匹での毒は弱い。ですが、一斉に毒を注入するとどうなりますか?木の上から鳥に飛び降りる覚悟が貴方はありますか?それが全員できるのが私達、マザーリーラの子供達です。現に私達のホームでは灰褐色の鳥はただの食べ物でしかありませんよ」


 「相分かった。感謝する」


 「健闘を祈りますよ」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「レナ?あそこのリーラの所とは付き合いはやめておこう」


 「そうだね。なんか気分悪いや」


 「あぁいうのも居るさ。それと北の事だ。そこも今は辞めておこう。まずは自分達の巣を大きくし、子を育てる事に専念しよう。この蜘蛛を見てみろ!美味そうに見えないか?」


 「人間なら触りたくもないけど、今は美味しく見えるよ」


 「まぁこれでも食べて元気を出せ。アイルーは本当にレナを気に入っているようだ」


 「おじさんありがとう。蟻も場所によって全然住み方や生活が違うもんなんだね」


 「そうだな。その点は我も知らなかった。が、それだけ知能が高いという事だ。戦い方も新しい戦い、古い戦いとあるようだしな」


 「おりょりょ?また難しい顔してどうしたの?」


 「アイルーは相変わらずだね」


 「おやおや?浮かない顔してるね?レナお嬢?」


 「あ!先生!」


 「飲むかな?」


 「はい!うんと濃いやつでお願いします!」


 「はいはい・・・(ブルブルブル ピト)飲みなさい」


 「(ゴグッ)プッハー!やっぱり先生の蜜は格別だよ!」


 「良き。後、13回明るくなれば最初の子達が産まれる。その後は30回明るくなれば君達みたいになる。アイルーの子供達をお世話できるのが楽しみだよ」


 「先生の蜜をいっぱい飲ませてあげてね!私の最初の子なんだから!」


 「アイルー?それに先生におじさん。私はもう寝るね!明日から元気になるから!」


 「レナ?レナは特別に卵の横で寝ることを許してあげる!こんな事本当はしないんだからね!一人になっちゃダーメ!今日は私と一緒!リアクはそこら辺で寝てね!」


 「おいおい。アイルーよ?それはあんまりではないか?そこら辺とはなんだ?我が作ったのだぞ?」


 「ふぁっふぁっふぁっ!リアクは私と寝るとするかね?」


 

 〜深夜〜


 「レナ?起きてるよね?どう?私の卵!」


 「うん・・・暖かい・・・」


 「そう!それが命なの。人間がどうやって産まれるかは分からないけど、レナの人間のお母さんも最初は絶対に暖かいって思ったはずたよ!そして元気な一生を過ごしてほしいともね!

 私は人間のお友達と親友ができて他の同胞とは違うけど、1番幸せだと思ってるよ!レナが何を考えているかは言ってくれないと分からないけど、不安の臭いがずっとしてるのは分かるよ!何が不安?」


 「え!?何で分かるの!?」


 「うん?お腹から臭っているよ?ほらほら!(クリクリ)」


 「ちょ、アイルー!くすぐったいって!触覚を擦れば分かるの?」


 「分かるよ!レナも私にしてみる?そうすれば私の感情を分かってくれると思う!」


 「(クリクリ)え・・・このこれは・・・なんか心の中で分かるような・・・」


 「そうそう!それでどういう風に感じた?」


 「なんていうか・・・凄く高揚しているような気分が良いような・・・」


 「そうね!私はレナが居るからこういう風になってるの!本当ならレナを次代の女王にしたいくらいだけどそれはダメだってリアクに言われているから、まぁけどその方がずっとレナと一緒に居れるって事だしね!」


 「アイルーは明るいね」


 「そうかな?私は私だよ!そしてレナはレナ!レナはファミリーじゃない同胞の事を気にしてくれているのよね?優しいよ!けどもっと優しい同胞を知ってるの!リアクよ!レナは私をもっと頼って!一人で考えるのはダメよ!」


 「ふっ。なんだか可笑しくなっちゃった」


 「そうそう!笑っているのがいいのよ!私達は私達でそのレナが包んでくれている卵を育て、新しい家族を作る!私達が他のファミリーを助けられるくらいに大きくなれば好きにしていいから!」


 「そうだね。どうしても人間の考えが捨てられなくてごめんね」


 「いいよー!さぁ!もう今日は寝よう!実は朝イチの先生の蜜はとっても甘いのよ!明日飲ませてあげる!」


 そしてその次の日、マザーヘカリーの側近で娘、新しい家族作り前のカイラがやって来た。私は少しアイルーと話気分が前向きになって来た所なのに・・・。


 「こ、ここは新女王アイルー様の巣でしょうか!?」


 「君は?私の警戒網に引っかからないという事は敵襲ではないな?用向きを話しなさい」


 「アブラムシ・・・先生ですか・・・もうアブラムシ先生が居着くという事は仲間が居るという事ですか!?」


 「私は特別でね」


 「うん?あれ?貴方は昨日のカイラじゃない?どうしたの?」


 「レナだったな。いや不躾なお願いを承知で・・・」


 「うん?どうした?カイラか?レナも早起きだな」


 「リアク!いや、リアク様!マザーをお助けください!お願いします!」


 「「は?」」


 

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異世界からの転生者 でんでんむし @t19851215

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