「実は魔王だった」と世界一彼女に言われた俺は実は勇者であるということを隠して結婚への道を辿る!?

りと

第1話 実は魔王だったの

「私......実は魔王だったんです」


俺───ルナ・カナリアは今日彼女に屋上に呼び出されていた。

その彼女の名前はノルン・エリアという可愛いらしい名前をしている彼女だ。


そして俺は今日大切な話と言われもしかしたら別れ話かもしれない......と思いながら、ノルンの所へと向かった。

そうして言われた言葉は『魔王』だった。

普通の人だったら何言ってるんだこいつ.....となるような言葉だった。


「なるほど、魔王か.....よく漫画とかアニメで見る魔王だよな」

「えぇ、あなたが言っている魔王で合っていると思いますよ。私たち、付き合っているでしょう?隠すのは罪悪感が湧くので言っておこうと思いまして」

「......ほうほう、なるほど。よく聞く魔王が異世界転生したということか」

「はいっ、そうなんです!実は魔王なんです!」


本当によくある話だ.....魔王だった人が普通の世界に転生して俺TUEEEEをするやつ.....まぁ今回は女の子なわけだが。


「でも彼女が魔王で悪いことしてたのは事実だから、流石に気が引けてしまいまして......あと、証拠なら出せますよ」

「証拠......というと?」


俺が聞くとノルンは見てて.....と言い、黒色の球体を何も無いところから生み出し、それを壁にぶつけた。

そしたら不思議なことに......壁が破壊されており、そしてノルンがパチン......と、手を鳴らすと、壁は元に戻った。


「こんな感じで、前世の力がまだ残ってるんです.......これで信じて頂けましたか?」


これがもし普通の人間であれば、信じることなんて出来ないだろう。

自分の可愛い彼女が元魔王だなんてことに。

しかし俺は────


「信じるに決まってるだろ?彼女の言葉だしな」


俺がそういうと、ノルンは少し嬉しそうな顔になったが、少し疑問に思ったことがあったのか、俺に聞いてきた。


「そ、そうですか......あなたにそう言ってもらえてとても嬉しい♪

でも、あまり驚かないんですね?少なくともこの世界では出来ないようなことをしたと思いますが」

「いやいや、充分に驚いているぞ?」

「と言ってる割にはって感じの顔ですけどね?」


ノルンが力を出し、壁を破壊して再生させた.....このことに本当に驚きは無い。

それは何故か?


(俺も、それできるんだよなぁ.......)


お前が魔王であったかのように......俺も実は前世勇者だったんだよな、と言える訳もなかった。

だって......お互いに殺しあった仲なのかもしれないから。


(いやでも......別に俺だなんて限らないはずだ、勇者は俺以外にもいるはずだ)


「勇者との戦いはお互いに全ての力を振り絞っての戦いだった。私はある野望のために、勇者は世界のために。お互いに譲れないものがあったから最後まで戦った結果、同士討ちでした」


んん〜〜、多分それ俺だわぁ〜。

あの最終決戦、俺らは互角の実力で、その結果が同士討ちだったはずだ。


(いや〜......ここで俺が勇者だったらどうなんのかね)


何となく、それとなく聞いてみよう。


「なぁ....もし今、勇者と会ったらどうするつもりだ?」

「ズタズタに殺してあげますよ」


彼女に殺害予告されてるんだが??

世界一可愛い彼女が前世殺しあった勇者と魔王。

取り乱してしまいそうになるが......俺は、1つ聞いておかねばならないことがある。


「じゃあ、昔から大人びていたのはそういうことだったんだな」


実は俺たち......勇者と魔王。彼氏と彼女という関係の前に、幼なじみであったのだ。

そしてそんな幼なじみであるノルンは昔から大人びていて、運動神経抜群な女の子だった。


「私からすれば、ルナ君も充分大人びてると思いますけどね......」

「お前には及ばないさ.....」


まぁそりゃあ俺だって勇者だ、大人びてるのは当然だろう。

まぁ生きている年数なら魔王である彼女の方が上なんだが。


「じゃあ昔から俺はお前のことを守っていたが、もしかして必要なかったか?」


彼女はとても綺麗だ、この世界で1番と言ってもいいほどに。

だが、それ故にナンパや、女子からの嫉妬を受けることが多々あった。

暴力に走ろうとする女子すらいたほどた。

だがそんな奴らかいる度に俺は返り討ちにしてきたのだ。


(余計なお世話......だったということか?)


そう思い、俺は彼女に聞いたのだが。


「まぁ、なんとかなると言えば何とかなりましたね......ですが」


彼女は微笑みながら、まるで宝物であるかのように自分の気持ち、当時のことを語った。


「でも私は嬉しかった。魔王であるが故に助けられたのは初めてだったから、その時初めて助けられる側の気持ちを知ったんです」


ノルンは俺の顔に宝物を扱うかのように優しく触り、言葉を続けた。


「でも、あなたが私を初めて助けてくれた、そして何度も何度もあなたは私を助けてくれた。そして助けられる側の気持ちを知っていったら......私はあなたの事を好きになったんですよ♪」


彼女は本当に嬉しそうに語ってくれた。

でも、元勇者が元魔王を救うだなんて、なんと皮肉の効いた話なんだろう。


「そうか......」

「ふふっ、照れてますよね??」

「......しーらね」

「ふふっ、可愛いですね.......あぁ、ほんとに可愛い......」


俺は、目を閉じれば直ぐに思い出すことが出来る......あの地獄のような戦いを。

でも現世と前世は違う......そうだよな?

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「実は魔王だった」と世界一彼女に言われた俺は実は勇者であるということを隠して結婚への道を辿る!? りと @Raimgh

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