第2話 最悪の◯翼見参!!

 「さあ、学校に行くわよ!」

 「昨日のことをすっかり忘れたのか無駄に元気だな」

 「そ、それ以上言わないでよ! 私も反省してるのよ」


 昨日のことを思い出したのか顔を少し青くした皇女。

 「お前反省しないだろ」


 お前に反省なんて二文字は似合わない。


 「ふん! バカね。今回のことは本気で悪いと思ってるわよ。それよりあんた、な、なんで私の朝食をイディスに作らせたのよ!!」


 バンッ! と叩きつけられたテーブル。


 彼女の目の前の皿には黒焦げの何かがあった。


 「お前に対しての罰だ」

 「………あ、あんまりじゃない? 人の心を捨てたのかしら?」

 「……そうか、今日は飯抜きで過ごすんだな」


 そう言って席を立とうとすると彼女が僕の腰にしがみつこうとした。


 「ご、ごめんなさぁああああーい!!! 反省してるの! ほんとに反省してるのよ!! だからあなたの朝食を少し分___」


 彼女の見苦しい姿を無視して僕はドアをバタンッ! と閉じた。


 ---学校---

 

 さて、僕たちの正体について気づいている読者の方もいるかもしれないが一応説明しておこう。


 ____要約すると宇宙人である。


 そのため地球人とは様々な違いがある。

 例えば寿命だ。地球人の平均寿命が80歳なのに対し僕たちはその10倍も長生きする。ほかにも筋肉量、知能指数、技術力、五感、数え上げればきりがない。


 そのため僕らの十分の一も生きてない地球の高校生ヤツらと仲良くなるのは実質的に不可能だ。


 しかし、一人だけ僕たちに近づいてくる奴がいる


 「なあアイン。今朝のニュース見たか?」


 ____こいつである。


 こいつの名は右翼誠司。光り輝く銀髪に絶世の美貌、そしてモデル体型と言われる高身長の一見完璧イケメンに見える風貌だが彼は____。


 「石◯政◯……間違えた。売〇政権がまたやらかしやがるぞ!」


 ____〇翼である。


 なぜ、どんな理由でそこまでは知らないし、知りたくもないがとにかく思想が強い。


 そのせいもあって入学から三カ月経った今では____



 (うわっ右翼だ。布教される前に逃げよ)

 (また布教してるよ。なんで飽きないかな)

 (気持ちはわかるけどついてけねぇよ)

 (竹◯は日本の領土定期) 



 ____誰も彼に近寄らない。というか誰だ最後のやつ。


 とまあこんな具合で人に避けられている彼だが。本当になぜなんだ。


 「やはり伸びてきているな。〇国の魔の手が!!」


 ____やめろ言うな!


 「ともかく◯国とは一刻も早く断交を____」


 その時、キーンコーンカーンコーンと学校のチャイムが鳴った。


 「おっとそろそろ授業のようだな。続きはまた後で話そう」


 そう言うと彼は自分の席に戻っていった。


 やれやれ、チャイムに救われたな。だが、まだ終わったわけではない。あの調子だと家の前までついてくるんじゃないか。それに少しになるところもある。


 「あいつもしかして……」


 −−−−放課後・帰り道−−−−


 「なあなあ、アイン。政治家の給料についてどう思う」


 放課後、彼は相変わらず僕に付きまといクラスメイトたちが言うをしているらしい。


 「そうだな。高すぎるし義務を果たしていない。彼らの言い分からすれば政治家は特権階級とでも認識しているような発言をしている。はっきり言えば政治家が一番のコストだな。AIにすればもっとまともになるんじゃないか?」


 僕が適当に言うと彼はフッと笑みをこぼした。


 「確かにその通りだ。しかし、まだAIが国家運営できるかいささかの疑問がある。これは将来に期待だな」


 ____いい顔するじゃねぇかこの野郎。

 

 「だが今のやりとりで確信した。やはり政治家を気取った政治屋は全員◯すべきだ!」


 右翼はとんでもない事言いだした。


 「おい、それは言っちゃマズイだろ! 人としてどうなんだ?」

 

 反論されると思わなかったのか彼は咄嗟に言い返した。


 「だ、だってあいつら俺達国民が納めた税金で好き勝手やって、S◯クラブに行ったり! 都合の悪い人を◯したりそのくせ俺らを苦しめるんだぞ! ◯ねなんて言って何が悪いんだ!」


 大声で怒鳴ったせいなのか若干声が震えている。やはりお前は____。


 「確かに、お前の言うことはもっともだ。間違えてないし、そう思っても無理はない」

 「だったら____」

 「だからこそ、僕たちにはがある。悪いことをしているからといって僕たちが何でも言っていいことにはならないし、仮にそれが原因で死んでしまって責任なんてないと放棄することはしてはいけない。だからとして言うぞ。お前のそれは____」

 「う、うるさい!」


 僕の言葉に彼はうまく反論ができずに逃げ出した。


 「……まったく、手のかかるやつだ」




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銀河帝国公爵令息の苦難 月詩 @aindo

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