いつか、会えたら
結音(Yuine)
焦土
――ねぇ、ポポル。
――なぁに、ペポル。
――わたしたちは、いつまで こうしているのかしら。
――外は、どうなっているのでしょう。
乾いた土。
強すぎる光。
ポポルとペポルの ほかのきょうだいたちは、絶えてしまった。
耐えられなかったのだ。
『水が欲しい』
それが、きょうだいが遺したメッセージ。
ポポルとペポルも、あとどれだけ耐えられるのか、わからない。
外は、怖い。
ここは、暗くて冷たくて
居心地が良かったはずなのに。
熱を帯びた光が、きょうだいを弱らせた。
湿度が失われていくにつれ、きょうだいの数は減っていった。
今は、
ポポルとペポル以外に、残ってはいないのかもしれない。
それを思うと、ポポルとペポルは苦しくなった。
◇
ある日、
たくさんの雨が降った。
突然に雨が降った。
乾いた土が、水を吸い込む。
強過ぎた光が温かな熱へと変わるのかもしれない。
ポポルとペポルは、
互いの姿が見える範囲へ近づいた。
――ねぇ、ポポル。
――なぁに、ペポル。
――わたしたち、外へ出られるのかしら。
――外は、危険でないといいね。
◇
それからも時折、雨が降って、
土はしっとりと濡れて、
ポポルとペポルを温めた。
ポポルとペポルは
少しずつ
外の世界へと顔を出す。
やがて、
そこに
空があることを知る。
空では、鳥が飛び、
風が吹き、雲が流れ、
まぶしい光が彼らを照らす。
照らす。
照らす。
雨が降る。
いつか、
ポポルとペポルは、
美しい姿を太陽に見せることになるだろう。
そんな日を待っている。
◇ ◇ ◇
いつか、会えたら 結音(Yuine) @midsummer-violet
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