おまけ
蛇足という名のおまけ。そして物語はつづく
後日譚。
いや。いらないだろ後日譚なんて。あたしが精一杯格好つけたのに!
というわけにもいかない事が一つだけあった。
というか、ひと悶着あった。
スカートのポケットにはロザリオが入っていたけれど、もう一つ入っていたものがあった。
現代人の必須アイテム、スマートフォン。
しっかり水没していた。
これだから安物スマホは駄目なんだ!
なんて思ってても、両親には壊れた理由を恥ずかしくて言うに言えず、スコールが来るのをひたすら待った。
大雨で水没したなんて納得してもらえるはずもなく、じゃあ突然の大雨なら傘が無くても納得してもらえるだろう!
という中学生の安易な発想である。
それまでの間、それこそロザリオを壊れんばかりに握りしめ、神に祈り続けた。
現代人なのにやってることは古代人のそれとは、なんとも皮肉な話である。
結局、新しいスマホが手に入ったのはお盆に入ろうかという時期だった。それも最近あたしがスマホをいじってないのを怪しく思っていた両親に問い詰められたから、なんていう情けないを通り越して笑える事柄があったからだ。
壊れた理由を何とかごまかしつつ申し訳ないから言い出せなかったのだと釈明して、買ってもらった。
それからほどなく衣織も買ってもらったらしく、夏休み明けに連絡先を交換した。これであの部室ずっと一人待ちぼうけということもなくなる。
それはそれで、この前のハプニングが無くなってしまうのはなんだかもったいない気がした。
あたしの中で、あの気持ちが何か答えは出ている。
けれど、それを口に出すことはきっとできない。
もし口にすることがあるとすれば。
それは関係が終わってしまう時だ。
【中学生百合】ポケットのなかのロザリオ ナインバード亜郎 @9bird
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます