香織の毎日

T駅の踏切りではとかく人身事故の発生率が高い。
その日も人事事故で足止めを食らった斎藤美波は、ひとまず疲れた体を休ませようと待合椅子に座ろうするが、椅子にはカセットテープが置いてあった。
忘れ物か落とし物かわからないそれを、怠慢から一旦持ち帰ってしまった美波。興味本位でそのテープの中身を聞いてみると「香織」という女性の日々を綴ったものだった。
はじめは小馬鹿にしていた美波だが、だんだんと顔も知らない、過去の時代を生きている香織に魅了されていく。