#4 加害者サリア
私は外の情報を新聞で把握しています。人間、悪魔、天使、外国、四種の新聞をそれぞれ別の銘柄を二部ずつ。
先日の発砲は反社会的勢力の差し金だったそうです。私を撃ったのも同じ組織なようです。しかし起こった場所が場所なので、天使側の陰謀なのでは?という意見も見受けられます。
悪魔側もほとんど同じ内容でしたが、極力人間を擁護しないように避けています。
「ふぅ、死んでない」
最悪、感染症で死ぬリスクはありましたが、無事なようです。しかし、天使が応急処置したことはどの新聞にも書いていません。天使が肩入れをしていると思われないためでしょう。
「これが最善。うん、大丈夫」
まだ日の昇っている時間帯ですが、今日は寝て休みましょう。傷口もかなり微妙ですし、下手に動けば悪化します。落ち着かないと。
「ふぅ、大丈夫」
つかの間でした。聞き慣れた地面を叩く音が聞こえます。そして耳を澄ますと、バタバタと複数の足音も聞こえます。
「はぁ、また」
外へ出ると、やっぱり馬だったものがありました。前のときよりも腐敗は進んでいて、地面へ落としたときの衝撃で溶けています。
「――――」
奇跡で地面をえぐり、周囲を巻き込んで全部消しました。そのおかげで臭いやうるさい虫がいなくなりました。踵を返して家に戻ります。
「うーん、まだお昼なのに」
夜に捨てていく彼らとは別の共同体ですかね。傾向や状態が違います。非常にゆとりなのですね。
―――――――そういえば、昇任試験の勉強をしていませんでした。前の集会から一週間。怪我や人間代表の安否、増加する毎日の死骸掃除で時間がなかったんでした。
ふと本棚から、昇任試験の勉強に使っていた本とノートを取り出します。机へ座って中身を確認してみました。
「もし私たちの誰もが銃を持っていないのなら、いったい誰が太陽へ向けて撃っているのでしょうか?」
誰もが銃を持っていないと言っているのに、太陽は誰かに撃たれている。自分たちのせいではないと言っているのに、問題が起きている。
しかし太陽へいくら撃とうとも、弾丸が当たることはありません。よって、無駄な行為だと私は思います。
次の更新予定
太陽を穿つ天使 上白糖 赤飯 @etoetoetoeto
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