#3 守護者サリア

 仕方がありません。私がここで仲介人として入りましょう。


「あの――」


 体を少し前に出しました。偶然か、神の加護か。発砲音と同時に出された弾丸が横腹をかすめます。


「いっ!」


 さらに発砲音が鳴り、人間、悪魔、天使問わず狙われます。とっさに体をかがめますが、人間代表に命中してしまいました。


 周囲を守護で張り、弾丸を防ぎます。人間へ駆け寄り傷口を見ました。血の流れから貫通はしていないようです。応急処置を始めます。


「大人しくしてください」


 体内に残った弾丸を消滅させました。地面へ倒していた御旗を破り、包帯のようなものに形状を変化さえ、さらに土埃を消滅させます。体を少し上げて、包帯を独りでに巻かせました。


 一旦はこれで終わりですかね。すぐにでも病院へ……


「え――」


 目の前で銃口を向けられていました。敵ではありません。人間です。


「死ね!!」


 発砲してしまいました。怪我人である人間代表ですら驚いています。火薬の匂いが漂いますが、弾丸は命中の直前に消滅しました。


「な、なんで!!」


 人間は発砲を繰り返しました。止める人はいません。人間は傍観。悪魔は逃亡。かく言う私もフリーズ。


 ただ頭の中では、なぜ私は撃たれているのでしょうか?でいっぱいでした。私は恨まれているのでしょうか?人間、悪魔、天使、分け隔てなく人を助けたのに傍観され、逃亡されました。


 もちろん中立地帯ですし、突然の発砲に対して守護をすぐさま使ったのも、怪しいと考えるのは分かります。


 でも………


 私がいつ、あなたたちの住処に馬の死骸を置きましたか?


 私がいつ、あなたたちの罵詈雑言をぜひ聞き入れたいと申し出ましたか?


 私がいつ、命を張って守っていたことを覚えていますか?


 私が今、銃弾により肉を軽くえぐられて涙をこらえていることに気付いていますか?


 痛いんですよ。怪我って。

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