第6話 始めての愛の証
雲一つもない綺麗な月夜に、ヴァイオレットとイアンがファーストダンスを披露することで、舞踏会の幕を開いた。
多くの参加者は事前に二人のことを耳にしたので、このことはどう発展するのがかなり期待している――もちろんこれこそイアンの狙いである。
ヴァイオレットは若干慣れない感じもしたが、イアンは完璧にフォローした。
みんなの視線がいい感じに集まったところで、イアンが手をヴァイオレットの顔に当てて、二人の距離がだんだんと近づいていく。
そんな時――
「……ごめなさい!」と、ヴァイオレットがいきなりイアンから逃げた。
「ヴァイオレット様?」と、イアンがその後ろに追いかけた。そして、ダンスホールの扉の外で、やっと追いついた。
「私はイアン様を騙したの」ヴァイオレットの目尻から涙がこぼれた。
「久しぶりに貴女の泣き顔を見たね」イアンがそれをそっと拭いて言った。「君はミアだろう。わかるよ。僕がヴァイオレット様にそう頼んだから」
「騙したのは俺のほうだ」イアンが優しくミアの手を握って、「僕はミアをいいように利用した」
「それはどういう……」
「あの日、ミアを助けたのはただの気まぐれだ。ただ……普段と違う行動を取ってみたかっただけだ。本当は、もっと前から、別邸にいつも初日で亡くなる人がいることを知っている」ここまで言って、イアンの顔が暗くなった。
「イアン様……」
「同じ人生を百回目も迎えて、僕はもはや生きている意味を感じなくなった。だけど、悪いことすらいいことのように捉えて、誰よりも生きる意味を知るミアを見て、いつの間にか僕の死んだ心が癒された」
ミアの存在が、ドス黒いイアンの内心に一縷の光を差した。
「ミアさえいれば、僕はあと何百回も生きていける。生きていきたいと思う」今回はまったく演技する意図がなく、イアンは自然と手をミアの頬に当てて、
「人生が何度リセットしても、僕は必ずミアを救う。そしてミアと一緒に人生を過ごしたい。ミアはどう思う?」
「私も……ずっとイアン様をお慕いしておりますわ!」やっと言えた。
ミアはイアンを見上げて、二人が
「初めての口付け、さぞ喜ぶだろう。さぁ存分に泣け!」イアンがそう言ったが、二人とも最高に幸せな笑顔をした。
結局、少しレールから外れたが、計画が成功した。
ヴァイオレットは殿下と結ばれることもなく、世界もリセットしなかった。彼女はようやく自由に生きていける。
ループのことは未だに謎のままだが、イアンとミアはそれをまったく気にしなかった。
たとえ今後どんな
転生令嬢のメイドは「初めてのXXX」を増やしたい! 早川映理 @hayakawa0610
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