タイトルやジャンルに惑わされるな!乙女ゲーム異世界恋愛ファンタジー開幕

最終話まで読了してのレビューです。
★はかなり以前に入れていたのですが、どうレビューを書こうかと悩んだ末にここまで引っ張ってしまいました。

まずジャンルが恋愛になっているので、ああ、よくある恋愛ものか、と思ってブラバしないでください。
本作は恋愛というジャンルで一括りにできない面白さがあふれています。舞台は異世界、ファンタジーやSF要素たっぷり、そして世界観は乙女ゲームです。

なお、作者様自身があとがきでその辺りを語っているので、そこから入るのも本作に限ってはありかもしれません。

複合ジャンル作品であり、それらが巧みに組み合わさっているので、一つのジャンルに絞れないところは読み手にとってデメリットになりえますが、そこさえ乗り切れば、すぐに本作の魅力に引き込まれることでしょう。

物語の内容については、他の方のレビューに譲るとして、乙女ゲームの典型的な流れをくみながら、小説でマルチエンディングを描くというかなり高度な内容になっています。

一人のヒロインに対して、攻略側は五人の男たちです。そのためにストーリーが分岐していきます。
これ、一歩間違えば破綻まっしぐらなのですが、本作にはそれがありません。
一人一人の物語の完成度が高く、五人のうち推しを一人選んでそれで完結、でも十分に成立します。

それでは勿体ないとばかりに、五人分しっかり用意されているので、それぞれの魅力に触れてほしいです。

もう一点、本作は長い長いタイトルで全てを現わすような真似はしていません。全く持って潔しです。
ここもとっつきにくさを感じる点かもしれませんが、本当に読んで損なしの珠玉の作品なのは間違いありません。

ぜひこの機会に手に取ってみてください。

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