第2章:新しい命、新しい人生

おぎゃあ、おぎゃあ……


 赤ん坊の泣き声が聞こえる。

 赤ちゃんの泣き声って··· これは何の夢だろう? 胎夢?いやいや、胎夢を見るような大人の行為はまだしていないし。

 

「よーし、よし。泣かないで、泣かないで!」


 あーあ、もう。疲れているのにうるさい!

 ちょっと静かにしてくれないかな………


 --えっ?


 目を開けると、目の前には知らない人と小さな手が見えた。


 --んっ?


 おかしい。

 手を握って広げてみる。

 私の意志通りに動く……あはは、まさかね。


「はーい、おててですね?」


 目の前のちょっと老けた女が小さな手を握ってくれる。

 彼女の手の体温も、感触も私に伝わってくる。


 私、に轉生した!?

 まさかの異世界轉生なんて、アニメでしか見たことないけど!?いや、そういうのは堅実で見るのがもっと変だから……。


  というわけで、異世界に轉生した私は孤児らしい。

 この孤児院で暮らして数年、わかったことがいくつかある。


 ここは異世界【クラフト】、剣と魔法の世界だという。

 私が今いる所はクラフトの終わりに位置する魔女の国、【エスバット】。


 聞いてみると、昔々、魔女と人間の間で戦争が起きたらしい。

 それで魔女たちは人間たちが住んでいる所から遠く離れて暮らすのだなんて、一体どれだけ嫌われているのだろう? 魔女たちも魔女という呼称がついただけで、中身は同じ人間なのに。

 私もそのように捨てられた子供だろう。


 思ったより【ソレイユ孤児院】での孤児生活はそれほど大変ではなかった。

 直接育てる牧場と畑があって食生活には問題なかった。


 そして一番疲れる冬にはたき火をする。 焚き火だけでは足りないので、孤児院のマムたちが保温を維持できるポーションを組み合わせて配ってくれる。 美味しくはないけど··· まあ、こういう世界観だから仕方ないか。


 話せる年になった頃、孤児院ではマムたちが教える魔法と、外部から魔女たちが来て魔女授業を教えてくれた。

 孤児院での生活は朝早く起きて朝食を食べ、洗濯をし、昼食を食べて勉強し、運動して夕食を食べて洗って寝ての繰り返しだった。


 適当に中学生くらいの年齢になった時から私は未来が期待される容貌を持った美少女になっていた。

 鏡に映ったこの世界の私の姿は、天の川が輝くような紺色の瞳と月明かりに照らせば輝いて見える薄い銀色の長い髪の毛が本当に美しかった。


 孤児の身分ではすることもないので魔女の授業を熱心に受け、熱心に勉強してかなり上位圏を占めた。


 この孤児院は中学生程度の年齢になると、魔女授業を受けた孤児たちは自立しなければならないという規則がある。

正直、中学生くらいに自立させるのはすごく早いと思うけど、私は前世の年まで考えるとほぼ30歳だから…···


 外に出たら何をしようなどを考えていたら、恥ずかしがる女の子が近づいてきた。


「あ、あの……こもりちゃん、こもりちゃんは、外に出たらどこに行く予定なの……?」

「……私?そう、ですね。やっぱり気になった人間の国を回ってみるかと」


 何で人間が私たち、魔女を嫌うのか直接目で見たくなったからだ。

 物好きだといわれるかもしれないけど、気になるのは我慢できないから。

 そう答えると、隣で遊んでいた女の子たちが駆けつけて声をかける。


「こもりさん、それ本当!?」

「行っちゃだめだよ!」

「私も行ってみたいです……!」


 私のように本を読みながら生きてきた人は外の世界について知りたがっており、マムにだけ話を聞いた人たちは「行かないで」と怖がる。

 確かに、行ってひどい目にあうより、この国で居座って暮らすのもいいだろう。 でも、私は······

 そんな考えをしながら私はゆっくりと荷物をまとめることだった。

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籠もり魔女の語 ゴブサタ @GOBUSATA

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