第1話 終焉の警鐘

《20XX年6月6日》

 今日は世界初である仮想現実ゲーム(デス・リアル)の発売日だ。


 このゲームはもともと存在しており、初代はPC版のみで配信されていた。


 このゲームの制作者、発売会社が不明という今では考えられないようなゲームであった。


 これらが不明であることに対して人々は


「中国の会社が勝手に販売しようとでもしているのか?」


 といった書き込みがインターネット中で呟かれていた。


 しかし、発売されてみるとその書き込みの嵐はピタリと止んだ。


 それはゲーム性が今までどのゲームにもないような斬新なシステムであったからだ。


 そのゲーム内容は魔物と戦ったり、様々なダンジョンを攻略したりするなど、よくある異世界漫画とRPGゲームが融合したようなシステムが導入されている。


 これだけならば他社とのシステムに大差はない。


 しかし、他のゲームと圧倒的に違う点がキャラクターとの会話がリアルすぎること、マップや素材の量が半端ではないというところだ。


 マップの広さは近年配信された『原神』のマップよりも4倍以上広く、素材の種類は1万を超える。


 また、武器の種類やカスタムなどは無限に近いほど存在している。


 このようなことを導入しているのにもかかわらず容量は6GBなのだ。


 あの『原神』ですら最低30GBであるのにその5分の1でそれ以上のことを行えるのだ。


 この組み合わせが功を奏し、世界中で売れる神ゲームとなった。


 そんな神ゲームがついに仮想現実として販売されるのだ。


 仮想現実を利用することによってゲームの中の世界に入りこむことができる。


 漫画『ソードアート・オンライン』のような体験を実際に味わえる日が来たのだ。


 その影響もあってなのか、販売サイトの通信障害なども起きるほどアクセスが集中した。


 俺もすぐに買いたかったが最終的には5時間待ちとなってしまった。


 このような自体を受けて、開発者はゲームのサーバーログインの解禁を6月13日まで延期にすることを表明したらしい。


 買ったゲームを遊べる日が延期になることについては少しがっかりした。


《20XX年6月13日》

 ついに、ゲームのサーバーが公開される。


 インターネットではお祭り騒ぎとなっている。


 現在俺は仮想マシーンに接続しており、ゲームの選択画面が眼の前に表示されている。


 そこには”解禁時間まで残り1分24秒”とカウントダウンが表示されている。


 UIはSAOとそっくりですごくいい。


 一つ個人的に文句をつけるとしたら仮想マシーンが『ナーヴギア』と似ていないという点だけだ。


 現在使用しているマシーン【ジーニアスギア】はヘッドホン型で、本体とPCをMSSI(Microelectronic sensory sharing interface)と呼ばれる独自規格に接続する必要がある。


 ついにカウントダウンが10秒を切った。


 緊張と興奮が俺の体を包みこんでいる。


 カウントダウンがついに0秒となった。


 すると、灰色に包まれていたパッケージが青を基調とするきれいなパッケージへと移り変わった。


 すぐさま俺は開始のボタンを押し、ゲームにログインする。


 これと同時に白い光が体を包み込み、気づくとコロッセオの闘技場みたいな場所に立っていた。


 周りには魔法使いらしき姿をした人がいれば、剣士らしき姿の人、侍のような人など様々な職業の人達がいる。


 眼の前にインベントリらしきウィンドウが表示された。



*******************************************

 プレイヤーの皆さまへ


 ゲームのご購入ありがとうございます。


 私はこのゲームの開発者であるunknownです。


 これから簡潔にとある説明をします。


 今から7分後に世界中に”魔道”と呼ばれるものが出現します。


 魔道からは未知の生物である”魔物”と呼ばれるものが大量に湧き出てきます。


 前作で導入していたシステムと全く同じ戦闘、環境が起こります。


 私はこの現象から人類を多く救うためにを使ってこのゲームを作り始めました。


 5分後には強制ログアウトされますが、その際に現在身につけてもらっている装備をそのまま現実世界に転送させていただきます。


 どうか生き残って、未来を創ってください。


 健闘を祈っております。


*******************************************


 俺は何回も読み返してしまった。


 魔道?魔物?何を言っているのかよくわからない。


 ゲームのことではないのか?


 このゲームのアカウントは前作などから引き継ぐことが可能で、俺が装備しているものは正直そこまで等級は高くない。


 中ボス級などの攻撃を喰らえば、即死するほど弱い。


 そして、一番の問題はリアルでは運動神経がないことだ。


 リアルでは、唯一やっていたスポーツバドミントンだった。


 しかし、やめてからもう15年以上経過している。


 つまり、素早く動く能力も退化しているというわけだ。


 5分が経過したころ黒い炎が体を足元から迫ってきた。


 それと同時に段々と意識が薄れてきた。


 炎が目の前に来たところで気を失ってしまった。

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ゲームが現実に反映されたこの世界で生きるために人をやめますw 安野 夢 @blackman0509

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