ゲームが現実に反映されたこの世界で生きるために人をやめますw

安野 夢

第0話 前置き

 《20XX年》

 あたり一面はまるで地獄絵図のようになっていた。

 

 眼の前には原型が人の右腕や左足、真っ赤に広がった血の湖と押しつぶされた肉の塊。


 奥には赤黒い炎に包まれ、悲鳴を上げている人達。


 全身が針によって貫かれている人達。


 生きている心地がしない、いや、もはや死すら生ぬるいと感じてしまう。


 建造物は半壊と全壊の間をさまようような動きをしている。


 奥の方にうっすらと見える東京タワーはイタリアにあるエッフェル塔よりも傾いているだろう。


 ”希望や夢”が詰まっていた東京から”絶望や悪夢”の詰まった東京となってしまった。


 最初はただのゲームかと思った。


 あるいは仮想現実から抜け出せていないのかと思った。


 実際にインベントリなども開けていたからだ。


 夢であってほしかった。


 誰もが予想できなかった、いやできるわけがない。


 まさかなんて・・・。


 

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