第3話

 僕たちは全員で黒田の家へと向かって、眠ったようにベッドに突っ伏している青山と対面した。

 彼の顔に触れると、自然と涙が零れてきた。

 もう青山はこの世にいない。大好きだった男はこの世からいなくなった。

 僕は涙を隠さず、黒田に向かって提案をする。

「僕は青山が大好きだった。そして黒田もそうだったことを知っている。だから、これは事故だったんだって確信がある」

「……」

「でも、たとえこの世界の全員が事故だったと言ったとしても、お前には罪悪感が残ると思う。たぶん、一生」

「……」

「だからさ、その一部分だけでも、僕たちに背負わせてくれよ」

「……」

「なんでもいい。青山の死体を埋めに行くって言うのならそれに付き合うし、自首をするって言うなら全力でお前の弁護人を探す。青山の親にも会いに行くし、それでもし金が発生するなら僕も払う」

 白石と緑川も大きく頷いた。

「まずはさ――」

 黒田の肩を叩く。


「これからどうするべきか、一緒に考えようよ」


 黒田は青山を殺していない。黒田の行動がきっかけで青山が死んだのだとしても、そこに殺意はなかっただろう。

 それなら、黒田にも幸せに生きる権利は残っているはずだ。

 青山を失ったことは辛いし、悲しい。正直まだ実感がない。

 でもそれは、僕たちがバラバラになる理由にはならない。


「とりあえずは、警察かね」

「辛いかもしれないっスけど、状況を整理したいっスね」


 僕たちは、いかなる状況でも考え続けることを共通点とした親友同士。

 だから今回も考える。

 未来が公開されるまで、最適解を考え続ける。



 人差し指を唇に当てた。

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