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みかんゲーム完結しました

みかんゲームが完結したのでネタバレアリの自作語りをしてみようと思います。
下の方で各ゲームについて語っているので必読です

本作は、ラブコメ×デスゲームで小説が書きたい。ただそれだけの想いからはじまりました。
たぶんちょうどヤンキー×ループモノが流行っていたんだと思います。

じゃあその絶対に交わらないラブコメとデスゲームってどうすれば絡まるだろう。
負けた方が好きって言うとか?
それなら、好きって言ってくれない恋人に好きと言わせようと奮闘する話がいいな。
うーん、でもなんで好きって言ってくれないんだろう。
あっ、昔ゲームで負けて、好きっていう能力を失ったんじゃないか?
……ゲームで負けて好きを失うってなんだよ。

そこで詰まっていたぼくの頭に二つの漫画が思い浮かびます。
嘘喰いとAKUMA GAMEです。両方めちゃくちゃ面白いし完結済みなので読んで下さい。
この作品の共通点は、「賭けを反故にされないように人外レベルに強い暴力を持った人間(立会人)やシンプルな人外(AKUMA)を登場させている」というところです。
そうです。賭けって反故にされるんですよ。
ゲームに勝っても拳銃で撃たれたら死ぬんです。

だからそれの抑止力かつ、好きを失わせられる存在→人外を出そう、となりアイが生まれました。

ちなみにもともとはCASINO(カジノ)の神を集めるストーリーだったので、「シイ」や「エイ」、「エス」などが登場し、その中の一人「アイ」でした。
結局その設定は消えましたが。だって大人数で船に乗りたかったもん。ギャンブルと言えば船なので。

これがみかんゲームのはじまりです。
以下、アイデア第一弾。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
主人公:半同棲しているのになかなか好きと言ってくれない彼女に、好きと言ってもらうためにゲームを申し込む。
「僕が勝ったら愛しているって言ってね」
「じゃああたしが勝ったらこの先一週間の炊事担当ね」
「僕に愛してるっていうのそんなに嫌かなぁ!」


→ゲームが成立した瞬間、こたつ机の上に”ゲームマスター”と名乗る異形が現れて、勝手に勝負の立会人になる。
超常的な力により、賭けは確実に遂行される。
(”負けたら好きと言う”をベットした場合、”やっぱり恥ずかしいから言わない”は不可。概念もベットできる)

そしてそのまま主人公は、同じくゲームマスターに憑かれた者同士のギャンブルに巻き込まれていく……
※基本サシギャンブルだけど、ここで大人数デスゲームしたい


ゲームマスター:人間を超越した存在。気に入った人間にとり憑き、ゲームのフェアな立会人になる。
普段は指輪になっていて主人公に携帯される。
たくさんいるが、もとはひとつの存在。
いろいろあってバラバラ、散り散りになった。
合体を望んでいるが、いろいろあって自走できなくなったので、一つの場所に集まるためにギャンブル好きを扇動している。

ヒロイン:昔このゲームに巻き込まれていて、その時に「人に愛を伝える能力」をベットし、無くしている。


ゲーム内容
1stゲーム:みかんゲーム
こたつの上にあるみかんの実の数が偶数か奇数かを当てる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

わりと形になっているな。



■みかんゲーム

すずくんとさっちゃんの関係性とアイの登場を描きながらルールの説明をする必要があるため、簡単な丁半博打にしました。
イカゲームを見た直後だったので食べ物+ゲームにしようということでみかんゲームに。(なんで!?)
振り返るとあんまり盛り上がるゲームじゃないですが、「すずくんの勝ち筋を読み切ってそれを利用して勝つ」という彼女の強さは書けたのかなと。
アイの登場の時にそこまで動揺していないというのは意識して書いています。

ちなみに。
これを書き上げたタイミングではまだラストゲームの名称が決まっていませんでした。
嘘だろ?

■寿司ゲーム

お気に入りのゲームです。
私は、カイジで有名な福本伸行先生の「天」という漫画が凄く好きなんですが、まあ、読んだことある人ならわかると思う。
樋波の爺さんはアカギ(老)です。かっこいいジジイを書きたかったんや。
現実世界ではゲームを好きであることに理由はいらないですが、これは物語なので何かしらの理由が必要だと思い、伝説の勝負師に指導される、という展開にしました。
これやられたらゲームハマるでしょ。
すずくんがゲームの面白さに気が付くモノローグは何回読み返しても震えます。

先に、「親戚の爺に負ける」という展開から思いついて、ゲームはそのあと考えました。
すずくんが中学生かつ親戚の戯れなので、ここもまた単純なゲームにしよう。
親戚の集まりなら、寿司だろう。
ということで寿司を使ったゲーム。
寿司を使ったゲーム、というのを考えた瞬間、「寿司を横に倒した瞬間に見える、底面にびっしり塗りたくられているワサビ」という映像が浮かび、ルールを設定しました。

・経験なぞ本来不要
・勝負に大切なのは準備
・自分を信じられないのと死ぬのは同義。
あたりの、老兵の独自哲学はわりとお気に入り。
「勝負に大切なのは準備」はりしゅう本人の哲学でもありますが……。
ここで出てきた「ゲームは相手と心を通わせるもの」という概念、構想段階であったものではなかったんですが、この作品を象徴する概念に育ちましたね。

■じゃんけんとか、船に乗るまで。

ここはだいぶ削ったんですけどそれでもちょっと退屈かなあと心配しています。
「なんでも願いが叶う」というわかりやすいヒキを設けたり、アイのルール説明の途中にじゃんけんを挟んで退屈させないようにする、など工夫はしています。
その上で、「なんでも願いが叶う」を「あくまでデートだと捉える」ことで、ラブコメ色を強めてみました。
やっぱりラブコメデスゲームというジャンルがミスでは? 僕は気に入っています。ここまで読んでくれている人も気に入ってくれたと思ってますが……。ありがとうございます。

ちなみに、さっちゃんはこの時「好きを取り返すチャンス」だと思っているので、船に乗ることに超前向きです。
すずくんにはバレないようにアイを使って好きを取り返そうとすら思っています。
この「好きと言うことを賭けたじゃんけん」でさっちゃんが負けると、この時点で全てがバレてしまうので彼女はなりふり構わず勝ちに来ました。
恋人にみかんの汁をかけちゃだめだよ。

■脱出ゲーム
さっちゃんはどうやって船に乗る権利を得たんや!

「アイの絶対誓約は行動や概念までベットできる」の頭出し。
この辺がないと「絶対誓約で愛を伝える能力を失った」云々が受け入れにくいかなと思って。
(普通賭けと言えばお金や臓器など、物質なので)

ちなみに三千万円の借金ですが、「アイの絶対誓約は双方の合意が必要」なので、実はすずくんが自己紹介ゲームで余計なことを言わなければ、課せられるペナルティは現実的な乗船代で済んでいました。
あいつが余計なことを言ったせいで三千万円が共通認識=双方合意となり、エグいペナルティに育ったんですねぇ。
さっちゃんがすずくんを止めようとしていたのもそのせいです。
ただこの辺りは書くと冗長なノイズになるので省きました。

あさひさんも登場しましたね。
「すずくんとさっちゃんVS天月さん」だけだと盤面が弱いので、新キャラがほしかったんです。かといって、一気にキャラが増えるのは好みじゃないので、インパクトのある一人だけだそうと思い関西弁で気の強い三上朝日を登場させました。
めちゃくちゃいいキャラになったと思います。
裏切る予定ではあったけど、エピローグまで一緒にいる予定はなかったので、気に入ってしまったみたいです。
彼女がすずくんに与えた影響もデカい。

四人の行動原理は
天月さん:ゲーム敗北で苦しんでいる顔を見るのが好き。
さっちゃん:好きを取り返したい
すずくん:ゲームに勝ちたい(人とゲームをしたい)
あさひさん:ゲームに勝った瞬間の最高の瞬間を味わいたい
なので、すずくんとあさひさんの精神性は若干似ています。この二人は勝った先に目的がないので。


■自己紹介ゲーム
「開始です」「アンサー!」がやりたくて(漫画の見開き的に)、そこからゲーム内容を整理しました。
だから、作中でさっちゃんとあさひさんが言っているように結構クソゲーです。
たぶんこのゲームだけ唯一、リアルでやったら全然成り立たないと思う。

でも、ゲーム内で自然に自己紹介をさせるというアイデアは良かったし、それを逆手にとった「自己紹介内で全体に向けて脅迫する」さっちゃんもいい味を出していましたね。
展開を思いついた順番としては
「とりあえず一回戦はいっぱい人を減らしたいなあ」→「開始です/アンサー!がやりてえ!」→「自己紹介をゲームにしよう」→「そしたら筆者なら『自分の名前』とか『質問』を設定するよなあ」→「ここでいっぱい人を減らすためにはどうすればいいだろう?」→「さっちゃんに全員殺させよう」→「脅迫だ!」
です。

あさひさんにアンサーを託して湯川さんを殺したさっちゃんの「わたしは、ね」というセリフは完全にFate/Zero
あのシーン超好き。

最後、すずくんが「アンサーをしない」ことによって時間切れで一矢報いる展開は最後の最後に思いつきました。
答えがわからないけどさっちゃんを助けさせたかった。

■チャージエンショット
手を二回パンパンして溜めて打つゲーム!

小学生のころやりましたね。やってない? 世代/地域差ですかね。
ビジュアルイメージは完全にライアーゲームの四国志ゲームです。
これは自己紹介ゲームを書いているあたりで、ゲームを先に思いつきました。
そのあと、何をやらせたいかを考えた結果
①あさひさんを裏切らせたい
②さっちゃんがすずくんを打つことで守らせたい
となり、「複数からの攻撃無効」などルールが追加されました。
ルールが確定した後、一セット目から順番に全員のライフとチャージと打った方向をノートに書いて整理していました。

ビジュアル的には盛り上がるけど、文字だと伝わらないかなあという懸念が強くて、改行や傍点などを一番工夫したゲームでもあります。
さっちゃんを負かすことは決めていました。

これを書いているあたりでは次のゲームの内容は思いついておらず、決勝を二人でやることとアイと戦うことだけ決めていました。
このタイミングで「未完ゲーム」を思いついた記憶があります。

■釘ゲーム
お互いの手に釘を刺しあうゲーム、おもしろくない??
と思い書きました。プロットに「決勝は二人でゲーム。鈴也が勝つ」しか書いてなかった過去の俺を殴りたい。
サシゲームなのでルールは単純にして読み合いがわかりやすいように。
このゲームはルールを決めてから、釘を抜くトリック、刺し直すトリックを思いつきました。
完全に攻略者目線。
でも、刺した釘を抜いたり刺し直すの、意外性があってよかったかなと思います。
よかった……よね?

■未完ゲーム
天才じゃない?
未完ゲームを思いついたから、タイトルが「みかんゲーム」になりました。
作中でちょくちょく「みかんゲーム」という名前をわざと書いていたのも、ここに繋げるためです。
「ぼくが勝ったら、好きって言って」というセリフもお気に入り。
さっちゃんに向かってゲームを挑んでいるようなセリフですが、「ぼくがアイに勝ったら、好きと言うことができるようになるから、好きって言って」というセリフになりました。
ぼくの信条に、「見え見えのデカい謎を開けるときは直後にもっとデカい謎を開ける」というものがあります。
RAVEって漫画がめちゃくちゃこれが上手で……。
だから、アイをバラバラにした人間は樋波の爺さん、という予想しやすい真実を開けた直後にキャッチコピーの回収と名前の回収をぶちこみました。
めちゃくちゃ面白かったと思います。

ちなみにもともとは未完ゲームがはじまって章が終わり、エピローグに飛ぶ。
という、ゲーム内容は描写しないという構成を考えていました。
でも未完ゲームのルールを書いている最中に「こうしたらおもしろくないか?」と思い急遽章を追加。
結果的にめちゃくちゃいい神殺しができたと思っています。
鮮やかかつ泥臭い。

釘ゲーム、未完ゲームは完全にルールを決めてから攻略を思いついてますね。あってんのか?


というわけで各ゲームを振り返ってみました。
みなさんの好きなゲームはどれですか?
是非コメントやTwitterリプ、DM、エアリプくださいね。

みかんゲームはとても大切な作品になりました。
こいつらとまた遊びたいです。
とりあえず
①樋波尊VSアイ(50年前)
②天月亥介VS大塚沙鳥(4年前)
③大塚沙鳥VS船に来た人(船に乗る直前)
は何があったか気になっています。作者のぼくが一番。
いつかスピンオフで書きたいな。ゲーム募集中です。


それではみなさん、楽しいゲームライフを。

1件のコメント

  • 姫路 りしゅうさん
    こんなところにすみません💦
    どこでどうお伝えすればいいのかわからなかったのでこちらに失礼いたします🙇
    現在NTR企画に参加させていただいているクロノヒョウです。
    今運営さんから過激表現だと警告を受けてしまったので作品を削除します。
    申し訳ありませんでした(ノ_・、)
    ご迷惑をおかけしてすみません(泣)
    🐆
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